12月17日に行われる愛媛県環境安全管理委員会にて、「伊方原発敷地内における使用済み核燃料の乾式貯蔵施設新設」についての審議が予定されています。この下部組織である原子力安全専門部会が、11月25日に乾式貯蔵施設新設についての国の原子力規制委員会の審査結果を「妥当」とする「報告書」を決定しています。
これらを踏まえて、伊方原発をとめる会では12月15日午前11時から、中村時広愛媛県知事宛に乾式貯蔵施設の建設中止を求める申し入れを行いました。
とめる会から、事務局メンバーを中心に8名が参加し、浅湫和子県議も同席下さいました。愛媛県側は、大橋原子力安全対策推進監(以後「推進監」)を含め6名が参加しました。
須藤昭男事務局長から大橋推進監に「審査不備の検証と乾式貯蔵施設の建設中止を求める申入書」を手渡しました。
申入書PDF 201215知事宛申し入れ文書乾式貯蔵施設建設中止
申し入れでは、使用済み核燃料の処理・処分の見通しがないこと、県民の不安が大きいことなどを示し、以下3項目を知事に申し入れました。
一つは、キャスクから放射性物質が漏れた場合の対策がない「報告書」であり、知事がこれを了承しないように求めました。参加者は、キャスクから放射能が漏れることを想定しない「安全神話的な仮定」に立っていることを指摘しました。大橋推進監は、「認識の違い」を強調しました。私たちは、規制委員会の更田委員長自身が問題を「認識」していたことであり、「認識の違い」で逃れることはできない問題だと更に指摘しました。
二つめは、大阪地裁判決にのっとって、原子力規制委員会の審査不備を「原子力安全専門部会」で検証するように求めました。大橋推進監から、規制委員会は過誤や欠落はないと回答している旨の発言がありました。参加者たちからは、推進監は県民のいのちを守る立場であってほしい、規制委員会から距離を置いて見てほしいとの指摘がありました。
三つめは、伊方の乾式貯蔵施設を中止させた上で、使用済み核燃料の搬出時期と搬出先を明確にするように求めました。大橋推進監らは、六ヶ所再処理工場は新たに作るのではなく、建設工事は進んでいる。新規制基準に適合かどうかを見ているとの話がありました。参加者からは、繰り返しの延期で再処理工場の運転は期待できない実態を指摘しました。また、処理したと言ってもさらに処分が困難な廃棄物が出るのであり、原発からの撤退こそ求められると指摘しました。
申し入れの最後に、コスト面での原発の優位性は既になく、蓄電技術も進んでいることから、原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を促進するよう求める発言などもありました。
大橋推進監は、私たちが申し入れた内容を確実に知事に伝えると約束し、11時から1時間にわたる申し入れを終了しました。