「公開討論会」を求める意見書=自治体本来の役割発揮
愛媛県の中村知事に「公開討論会」の開催を求める「意見書」を提出する市町が幾つか出ています。伊方原発を とめる会の陳情・請願を受けて議会で検討された結果ですが、まともに批判意見を含めた検証がないもとで、いったん再稼働されてしまうと事故の際には汚染さ れ、住む所さえも追われる「理不尽」がぬぐえない原発の特質に対して、住民を守る自治体本来の役割にちなんだ行動と言えます。
愛媛県内では大洲市議会が趣旨採択をしましたが、高知県の南国市議会、須崎市議会、越知町議会、本山町議会、四万十町議会、黒潮町議会、が愛媛県知事に対して意見書を提出しています。(左図は南国市議会と巣材市議会の意見書から)
以下に、南国市議会が中村知事に提出した「意見書」を紹介します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・【以下資料】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
伊方原発についての「公開討論会」の開催を求める意見書
原発による重大事故がおこれば、仕事も住まいも学校も、生きる場所をそっくり移転せざるを得ない。被害は県の境目も超えて広大な範囲に及ぶのであり、放射能 汚染の深刻さは他の災害とは比べものにならない。それだけに、福島原発事故の直後に語られたように、いわゆる「原子力村」周辺の意見だけで原発の問題を検 証することは許されない。はっきりとした批判的見解を述べる専門家も必ず含めて検証すべきである。
2006年にプルサーマル問題が焦点になったとき、愛媛県は、「容認・推進」の研究者3名と、「慎重・反対」の研究者3名を論者に「公開討論会」を実施し た。世論の要望もあって実施したこの公開討論会について、当時の加戸知事は、「私自身も大変勉強になりました」、「みんな関心を持ってこの会場へ来られた んだなというのを感じさせていただきました。いずれにしても、県の主催した公開討論会、CATV、あるいはインターネットでの、会場へいらっしゃらなかっ た方々にも、随分参考になったものと思いますし、今回の県主催の討論会を開いたことは正解だった」と語っている。
福島原発事故で、私たちは容易に解決できない原発事故の深刻な実態を知った。プルサーマル問題のとき以上に、広く住民の声を反映させ、意見を交わす必要のあることが明らかである。
知事が重要な判断要素としてあげている、伊方原発環境安全管理委員会原子力安全専門部会は、四国電力と国の話を聴いただけで、批判的見解をもつ専門家の意 見聴取はしないまま、「まとめ」を行った経緯がある。このような形で作成された「まとめ」を元にして、重大な原発問題を判断することは許されない。
ついては、徹底してフェアな構成による「公開討論会」の開催を求めます。
以上、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。
平成27年9月16日
南国市議会 公印
愛媛県知事 中村時広 樣