第23回口頭弁論の報告 原発事故の被害の甚大性・深刻性  福島が物語る

新調された横断幕(尾崎ご兄弟から頂いた)と共に粛々と法廷へと向かう原告団

 10月6日(水)、松山地裁で伊方原発の運転差止を求める裁判の第23回口頭弁論が開かれました。

 裁判所は前回に続きコロナ感染防止を理由として、原告席も傍聴席も通常の3分の1という大幅な抑制措置(それぞれ12席、13席)を取りました。そのため、76名の傍聴希望者が6倍近くの倍率のなか裁判所による抽選に臨みました。

 裁判所前では、地元ばかりでなく香川からも熱烈応援がありました。バルーン、のぼり、旗にはウィットと風刺の効いたキャッチコピーが並びました。

 この日は、事前に提出した準備書面80(原発の非公益性)、同81(福島第一原発事故の被害)、同82(火山)の要旨を弁護団が口頭で陳述し、その後に原告2名が意見陳述をしました。

 準備書面80では高田義之弁護士が、原発は環境面でもコスト面でも安全性の上でも優位性に欠ける発電システムで、反公益ともいえる存在であると厳しく批判。準備書面81は福島原発事故の取り返しのつかない深刻な被害(命・健康・生業・コミュニティーの破壊)に関わる主張で、全文は112頁にのぼる長大なものですが、その要旨を中川創太弁護士が簡潔に述べました。東翔弁護士は、火山灰にかかる四電の過小で誤った主張の不合理性を解明しました。

 (各準備書面は「運転差止訴訟」の「原告主張書面」に収納してあります)

森井さん 車椅子から痛切な訴え

 ここで、裁判長は休廷を宣言し、コロナ感染対策として10分間ほど窓や扉を開放。再開後に、原告の森井正基さんは生まれながらの重度身体障がい者(脳性小児麻痺)の立場から、また長年障がい者運動に関わってきた当事者として、原発事故が起これば障がい者は介助者の確保が必須となる上に、広域避難を余儀なくされるなど、想像を超える困難を抱えると訴え、伊方原発の運転停止を強く求めました。 201006森井正基さん意見陳述書

400年続く農家として 廃炉を訴える

 土居立子さんは若い頃に三重で芦浜原発建設を巡る反対運動を見聞し、福島第一原発事故に「何故、原発をとめることができなかったのか」と後悔と自責の念に駆られ、「愛媛を第二の福島にしたくない」との思いに至ったと語りました。伊方原発で過酷事故が起これば農地が放射能に汚染され生活の糧を一切奪われてしまうと伊方原発3号機の即刻廃炉を訴えました。201006土居立子さん意見陳述書 

 なお、四電側は、この日は地震・中央構造線に関わる反論と火山に関わる反論などを提出しました。

報告集会

 閉廷後にR2番町ビルに移動して行われた報告集会には、約40名が参加。弁護団から法廷でのやりとりの報告があり、3つの準備書面の詳細な報告もありました。原告お二方からは、意見陳述の感想が述べられ、土居さんは陳述書の中で引用していた池田年宏さん作の「ふるさとは原発を許さない」の歌を、松尾京子さんといっしょに披露しました。

 薦田弁護団長から、裁判も長くなってくたびれてきているが、毎回、意見陳述を聞いて、やらなければならんという思いを強くするとのとのコメントがありました。会場の参加者から質問や意見も出されました。

 なお、次回の口頭弁論期日は、2021年1月26日(火)です。

*報告集会は、小倉正さんが動画配信をしています。以下のURLからご覧になることができます。

https://twitcasting.tv/togura04/movie/644561831

頼もしき弁護団
会場風景