訴訟の進行を巡って激しく応酬/四電は露骨な引き延し策(第9回口頭弁論)

dai9benronkosindai9benronhokok 10月28日、伊方原発運転差止めを求める訴訟の第9回口頭弁論がありました。この日は、第4次提訴が併合されて初めての法廷で、原告数は1338名となりました。冒頭に原告側が第4次提訴の訴状を陳述し、四電側が答弁書を陳述。次いで原告側は準備書面32~34を陳述し、その裏づけとなる証拠書類(「書証」と言います)を提出しました(準備書面の概要は、原告・被告双方とも脚注を参照)。一方、被告の四電は、準備書面5、6を陳述し書証を提出しました。

その後、高橋博子さんが原告として意見陳述。高橋さんは、3・11の原発事故による放射能汚染から1歳半(当時)のわが子を守るために苦悩した母親の立場からも、また原爆やビキニ被災におけるアメリカの被害隠蔽と過小評価の歴史を研究する歴史家の立場からも、原発の再稼動は到底許されないと切々と訴えました。

原告弁護団は「訴訟進行についての意見書」を提出し、10月7日の「打ち合せ期日」において原告と被告が確認した3点について、正式に調書に記載することを求めました。すなわち、(1)被告側の主張は原子力規制委員会の審査の結論を待つことなく行う、(2)1,2号炉についての主張の予定はない、(3)原告側は主張全体の要約書面を、被告側はこれまでの原告主張への反論を1月23日までに提出する―の3点で、これらは裁判官の面前で行われたことでした。

ところが、被告側弁護団は、(1)(2)について突然強硬に不同意を表明。「趣旨が違う」「個々の弁護士の発言で被告の意思ではない」などと言い募るため、原告弁護団は次々に立ち上がって厳しく追及しました。その結果、(1)と(2)についての被告側の認識を文書化し11月18日までに提出するとともに、被告側の主張・立証のスケジュールを提示することとなりました。
提訴からこれまでの2年10ヶ月余、原告側は必要な主張・立証を尽くして来たにもかかわらず、被告側は反論らしい反論を行わず、いたずらに裁判を引き延ばそうとしているとしか思えない状況です。

こうした事態を打開するには裁判官の積極的な訴訟指揮が不可欠であり、そうした声を裁判所に届けるためには、いま取り組んでいる裁判所向けの署名が不可欠です。友人知人に呼びかけて、ぜひ署名運動を成功させましょう。なお、次回の口頭弁論は、2月10日(火)となりました。閉廷後は、県立美術館講堂で裁判報告集会を開催。記者会見の後、広島市立大学平和研究所講師の高橋博子さんによるミニ講演「被ばく問題―ヒロシマ、ビキニ、フクシマを考える」を行いました。

(写真上は裁判所前で横断幕を先頭に歩む原告・弁護団・支援者、写真下は報告集会の様子)

脚注:
原告の準備書面32は、電力事業者の過酷事故における安易な見通しの問題性や規制基準が「世界最高」と言えない実態などを指摘。同33は、東電幹部に関わる検察審査会意見書を引用し、利益優先で原発事故を起こした東電と四電は同じ体質と指摘。同34は、北海道留萌支庁南部地震の最大地震動からして四電想定の過小評価は歴然と指摘した。
被告の準備書面5は旧態依然たる原発安全論。同6は大飯原発運転停止を命じた福井地裁判決を非難した。