
9月13日の午後、愛媛県美術館講堂にて上記のイベントを開催しました。110人の参加がありました。
先ず、最初に高知・室戸のマグロ漁船被曝問題を追い続けた「放射線を浴びたX年後」シリーズを製作中のドキュメンタリー監督・伊東英朗さん(松山在住)の第3作『サイレント・フォールアウト』を上映。舞台はアメリカで、ネバダの核実験による被曝者らを取材し、今も続く米大陸の放射能汚染を明らかにした映画です。伊方原発をとめる会では2023年の9月に上映会を行っていますが、今回は更にバージョンアップした『サイレント・フォールアウト』でした。

上映後のアフタートークで、伊東さんは、気象研究所のデータを映しだして、日本列島がアメリカ、ソ連ばかりでなく中国の核実験によって更に放射能まみれになっていた事実を突きつけました。また、米国の被ばく実態を米国民に伝えて行動を促したい、との想いで製作に至ったと熱く語りました。

休憩を挟んで、被団協代表理事で、当会の共同代表でもある松浦秀人さんと、伊東さんのお二人に核なき世界に向けてなすべきことなど対談していただきました。



外国で被爆体験を話す機会のある松浦さんと、昨夏、米国で自主上映ツアーを行った伊東さん。そのお二人が異口同音に語ったのは、世界の人々が核問題に関して無関心であること。放射能は色も形もなく人間は感知できないだけに、政府が大丈夫と言えば何となくそう思い込んでしまう。
松浦さんが、「原爆を落とした国を知らない日本の高校生がいる。また原爆が時間や空間を超えて被爆者を苦しめる事実を知らない人が多いと感じる」と語れば、伊東さんは「マスコミは『原爆が投下された』と書くが『アメリカが原爆を投下した』と事実を知らせることが大事だ」と応じました。


松浦さんは、毎日ワンズ発行「原爆裁判 アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子」を紹介し、日本初の女性裁判官の三淵が、原爆投下が国際法に抵触していると明言したこと、またアメリカ軍が原爆による残留放射線の影響を隠蔽し続けていたことに言及すると、伊東さんはアメリカ国内で軍がアメリカ市民に対して行った忌まわしい人体実験について紹介し、二人の熱を帯びた言葉のやり取りが続きました。
最後に、松浦さんが「私の口癖は、原爆と原発は双子の兄弟ですが、今後も伊東さんと意見交換をしながら、原爆も原発もない社会を目指していきたいですね」と対談を締め括りました。
その後、室戸の漁師の水爆実験による被曝を扱った「放射線を浴びたX年後Ⅱ」が上映され、イベントは終了しました。

なお、『サイレント・フォールアウト』上映後の伊東さんのアフタートーク、松浦秀人さんとの対談については、後日、書き起こしたものを当ホームページに公開予定です。