白石草(はじめ)さん講演会「原発事故から13年 復興の陰に隠れた現実」

会場風景

 3月9日(土)、愛媛県男女共同参画センターで、講師に白石草(はじめ)さん(OurPlanet-TV代表)をお招きして講演会を開催した。100人弱の参加者がパワーポイントで映し出される画像を見ながら白石さんの話に耳を傾けた。

 白石さんは、国やマスコミは「復興している福島」ばかりをアピールして、負の側面を報じようとはしないという。避難指示が解除された地区に立派な学校が建てられ、行政による手厚い子育て支援があっても、戻ってくる子どもは限定的だという。

 また、福島県や福島県民の大多数にとってのタブーは、被ばく、健康への影響、甲状腺がんという言葉。「福島に被ばくは起きていない」と大金を使って人々に吹き込み、放射線被害を訴える人々の声は抑えこまれているという。

 このなかで、2022年1月に原発事故当時6歳~16歳だった福島の子ども達が東京電力に対して「311子ども甲状腺がん裁判」を提訴した。とても勇気のいる行動で、現在も原告7人の若者が、原発事故に伴う放射線被ばくと病気との因果関係を立証して、被害者への補償を求めるために頑張っているという。白石さんから聞く若い原告たちの日々の苦しみには言葉もない。希望の進路を断たれ、手術や過酷な放射線治療に耐えながら、自分の人生を取り戻すべく前に進もうとしている原告たち。彼らの勇気に大人はどう応えるべきなのか考えさせられる講演だった。

できる支援とは?

 講演後に、参加者から子ども裁判にどのような支援が出来るかとの質問があった。白石さんは、一人でも多くの人に子ども裁判について知ってほしいし、人にも伝えてほしい、また寄付(カンパ)などで裁判を支えてほしいと訴えた。

311甲状腺がん 子ども支援ネットワーク  https://www.311support.net/courtdocuments/

OurPlanetTV        http://www.ourplanet-tv.org/

参加者の感想:

Mさん:私の反原発運動のリクツは、未来世代に対し核のゴミという負の遺産を1gたりとも増やさないために、今すぐ原発をとめることです。しかし、その時、私が想定しているのは未だ被害を受けていない未来世代である。ということに改めて気づいた。白石さんの話は既に深く加害された子ども達の話だ。そういう子ども達と向き合い、その存在を知らせる活動を続けておられる白石さん。その勁さ(つよさ)がすごい。こういう人がいることを励みに私も私の運動を続けよう。

Hさん:「白石 草さん」の講演をきいた。福島で見つかっている甲状腺がんの多くはリンパ節転移しているほか、進展が早く手術を繰り返している。甲状腺がんが発症し進学・就職をあきらめる、転職を余儀なくされ厳しい検査・治療に耐えている被災者がそこにいる。しかし、国も福島県も福島第一原発事故との関連を認めない。メディアもほとんど報道していない。以前から放射性物質と健康被害の関連性を認めない国。これでいいのだろうか。こんな国でいいのだろうか。この国は変わることができるのだろうか。