再質問に四電が文書回答            事態を小さく描く不当な内容

 四国電力社長に、8月4日付で「再質問書」を届け、書面またはメールでの回答を求めました。期限とした8月10日に、メールにて文書回答がありましたので下記に掲載します。また、質問と回答の対比表も掲載します。回答ごとに、私たちのコメントを入れました。(最初の口頭回答は、8月1日付の当会ホームページをご覧下さい。)

 四電の文書回答は、総じて事態を軽微に描こうとしています。しかも、特重施設の計装設備が不全であった場合、どのような事態が想定されたのか一切明らかにしません。

 こうした態度は、潜在的な危険性を持つ原子力を扱う事業者としての資質を疑わせる欠陥としか思えません。

 「とめる会」としては、引き続き運転停止と廃炉を求めるとともに、当面的には事故を起こさせないよう監視を強めたいと考えています。

 転載:以下はメールによる四国電力の回答(2022年8月10日)

伊方原発をとめる会 事務局長 須藤昭男様

 四国電力原子力本部の大野です。

 2022年8月4日にいただきました質問につきまして、以下のとおりご回答します。

(1)の回答

  (2)以下の内容をご覧ください。

(2)の回答

 伊方発電所では、従来の設備に加え重大事故への対応として追加した設備を設けており、仮にこれらの計装設備が不全となった場合でも、様々な手段により確認できる手順を定めていることから、プラント状態が全く推計できないということはないと考えています。また、特重施設としても、今回の計装設備以外に様々な設備を設けていることから、特重を用いた事故対応は可能であったと考えます。

 なお、今回の計装設備について、メーカからは、部品未装着の状態においても、運用・機能上直ちに問題が生じるものではないと考えられるとの見解を得ています。

(3)の回答

 メーカ報告以降、経緯等を含めた詳細な確認・調査により原因を特定し、必要な対策を実施できるよう、対応を進めているところです。

 また、現地据付後の原子力規制委員会の使用前検査においては、機能・性能の確認を受けています。

(4)の回答

 特定重大事故等対処施設はテロ対応の施設であり、詳細についてはセキュリティ上の制約からお答えできません。

 これは、原子力安全に係る重要なルールであり、ご理解頂きたいと思います。

(5)の回答

 当社としては、今後とも愛媛(伊方)方式を徹底し、正常以外の事象が発生した場合は速やかに通報連絡し、対策も含めて公表することで、皆様のご理解を得てまいりたいと考えています。

                                      以 上

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四国電力株式会社 広報部

TEL:(087)821-5061 FAX:(087)826-1250

mailto:atom_postmaster@yonden.co.jp

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「質問と回答の対比表」も掲載します。回答ごとに、私たちのコメントを入れました。

「当方の再質問と四電回答の対比表」

番号

とめる会の再質問(要旨)

四電の回答(文面のまま)

再質問1

書面で回答する方が、簡潔かつ正確に内容を示せるはず。書面回答を拒否する理由をうかがいたい。

(2)以下の内容をご覧ください。

 書面で回答できない理由を質問したが理由記載はなく、メールでの文書回答となった。「以下の内容をご覧ください」というのは回答になっていない。「文書回答する」と記すべき。そもそも、社長名による書面回答こそ求められる。

再質問2

29日付けの回答では、「従来から設置している計装設備や新規制基準適用時に設置した計装設備」でプラント状態の確認、推計が可能であったとしている。

今回の問題は、バックアップに頼るほかない場合の特重施設の計装設備が「動作不能」となる可能性が否定できなかったことであり、回答はピント外れである。

従来の計装設備が不全となった後に特重施設の計装設備が働かなかった場合、どのような事態が想定されたのか示してほしい。

伊方発電所では、従来の設備に加え重大事故への対応として追加した設備を設けており、仮にこれらの計装設備が不全となった場合でも、様々な手段により確認できる手順を定めていることから、プラント状態が全く推計できないということはないと考えています。

また、特重施設としても、今回の計装設備以外に様々な設備を設けていることから、特重を用いた事故対応は可能であったと考えます。

なお、今回の計装設備について、メーカからは、部品未装着の状態においても、運用・機能上直ちに問題が生じるものではないと考えられるとの見解を得ています。

1)    どのような事態が想定されたのか、全く答えていない。

2)     四電は「全く推計できないということはない」とか、「直ちに問題が生じるものではない」という表現をとる。事態を軽微に描き出すことに執着している。実際には「推計できなくなる場合がある」のであり、事故発生後、「時間が経過すると計測できなくなる可能性」が否定できない。

3)     計測できない事態となった時のことについて、原子力規制委員会とも協議しているようだが、公表できないとのこと。

再質問3

29日付けの回答で、「今後原因を調査し、必要な対策を検討する」としている。

3週間経過しているのに、これから「調査」し「対策を検討」というのは怠慢ではないのか。安全意識の欠如を感じる。この3週間、貴社は何をしていたのか。

また、原子力規制委員会によるチェックはいつどのように行われたのか。

メーカ報告以降、経緯等を含めた詳細な確認・調査により原因を特定し、必要な対策を実施できるよう、対応を進めているところです。

また、現地据付後の原子力規制委員会の使用前検査においては、機能・性能の確認を受けています。

1)    調査と公表が遅く「怠慢」と指摘したが、「詳細な調査」、「対応を進めている」と答えるのみ。

2)    原子力規制委員会のチェックはいつどのようにと質したところ、昨年10月5日に行われたとだけ、口頭で補足あり。

再質問4

29日付けの回答は、テロ対策と言えば何もかも秘密裏にできるかのような対応だが、初歩的なミスについて住民、国民がチェックすることは、テロや大型航空機の衝突以前の問題であり、「危険」を防ぐために不可欠である。

どの計装設備でどのような部品の取り付けが欠落していたのか。

特定重大事故等対処施設はテロ対応の施設であり、詳細についてはセキュリティ上の制約からお答えできません。これは、原子力安全に係る重要なルールであり、ご理解頂きたいと思います。

 四電は、ひたすら「セキュリティ上の制約」を繰り返すのみ。今回のような問題はテロ対策以前の問題。こんな秘密体質では事故を防げない。

再質問5

大きな不安をもつ県民に対し、ただちに謝罪すると共に、説明責任を果たすべきではないか。この点についての認識を重ねて質問する。

当社としては、今後とも愛媛(伊方)方式を徹底し、正常以外の事象が発生した場合は速やかに通報連絡し、対策も含めて公表することで、皆様のご理解を得てまいりたいと考えています。

  文面中に、四国電力としての県民への謝罪や反省の弁がまったくない。