2013年3月21日
愛媛県知事 中村 時広 様
伊方原発をとめる会
松山市三番町5-2-3ハヤシビル3F
事務局長 草薙順一
中立性を欠く伊方原発環境安全管理委員の任命撤回を求める申し入れ
本日開催される、伊方原発環境安全管理委員会の原子力安全専門部会委員に新たに加えられる奈良林直氏(北海道大学大学院工学研究科教授)は、委員として不適格だと考えます。愛媛県は、委員指名にあたって「専門性を重視するとともに中立的な立場」とか「中立性をより適切に確保する」としていますが、中立性があるとは全くもって言えません。県民的な立場で真摯に検討するのではなくて、原発稼働に向けた持論を押しつけようとしていることは明白です。
日本エネルギー会議の提供する動画で、奈良林氏はエネルギーについて語り、「第2次世界大戦っていうのは、日本が生きていくためのエネルギーをどうしても取らなくてはいけない。無理矢理始めさせられたもの」と主張します。さらに、チェルノヴィリのあるウクライナは、ソ連から友好的に天然ガスの供給を受けていたが、それでも電力が足りなくなり、社会が荒廃し「誰も原発に反対しなくなって」原発に回帰したと語ります。
しかし、ウクライナとロシアの間では、国の独立性等にからんで天然ガス騒動が起きた経過があります。2011年に10月に、衆議院が民主・自民・公明・共産・社民の超党派でウクライナなどに派遣した調査団の報告でも、「チェルノブイリ原発事故のあったウクライナにおいて、被災者等の関係者に原発に対する賛否について質問したところ、意見は分かれており、脱原発とした場合は、ロシアの天然ガス供給への依存を強めることになることへの拒否感が根強いことを感じた」とあります。奈良林氏の言う「誰も原発に反対しなくなって」というのは事実に反します。
さらに「法をねじ曲げて原発をとめてしまった元総理大臣」の責任だとか、「間違ったことをただして」、「原子力発電所を使い続けていくというのが日本の取るべき道」だと語っています。
東芝の原発部門に長く居て、それから大学に移ったキャリアは、こうした発言の背景にあると思われます。さらに、この人物は、原子燃料工業と日本原子力発電の2社から計150万円の寄付を受けていたことも明らかになっています。
フクシマ事故の深刻な事態は今も続いており、ぜったいにフクシマを繰り返してはならないと、住民は願っています。「再稼働ありき」に固執する奈良林氏の選任は撤回されるべきです。
ついては下記の点を申し入れます。
記
(1) 伊方原発環境安全管理委員会の委員として中立性を欠く奈良林直氏の委員選任の撤回を求めます。