専門部会は批判しつつも、知事との約束破れと?

motonozumotonosuuti3月21日、伊方発電所環境安全管理委員会の原子力安全専門部会が開催されました。四国電力は、2011年6月に社長が愛媛県知事に約束した「耐震裕度2倍」に関する資料を示しました。図表は、四国電力が示したものの一部です。発生値が低くなり、裕度は2倍を超えることになりました。従来ゼロとしていた摩擦による抵抗分を減算したというものです。これには、専門部会の委員たちから疑問の声が相次ぎました。言葉の定義が不明確だとか、「手前みそで評価しているのではないか」、「一番都合のいい条件を使って評価しているとしか思えない」などの声です。

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しかし、もっと驚いたのは原子力安全専門部会の委員たちのその後の発言です。「2倍なくても技術的には十分強度がある」旨の発言や、技術者でもない知事もかかわっての2倍化という根拠は薄弱だとか、住民が「安心」できればいいわけだから2倍なくても良いと説明すればいいとか・・・・信じがたい発言です。そのそも、検討すべきはわずか「2倍」でいいのかということのはず。国内で4022ガルといった、強烈な地震動が記録されている中で、従来の570ガルの2倍化の1000ガル程度ということで済ませようとしていること自体が問題です。(4022ガルは、岩手・宮城内陸地震2008/6/14で観測されている)

以下に、この「2倍化」の議論が出てきた経過を示しておきます。四国電力の社長が知事に約束し住民に知らしめて、「2倍化」を言ってきたという事実です。「2倍」では、はなはだ低すぎる目標ですが、これさえ、まともにはクリアできない。ならば、もはや廃炉に向けた議論をタブーにすべきではありません。ところが、これを下回っても平気だと簡単に言ってしまう感覚は何なのでしょう。絶対にフクシマのような事態を繰り返さない、何があっても住民を守り抜くという姿勢を見せていただきたいのです。

【経過資料】
①愛媛県ホームページ「伊方原発に関する知事メッセージ」の2011年6月27日分。四国電力から耐震問題に関して、「(3)基準地震動570ガルで設計されている伊方原発の耐震裕度を徹底検証し、2倍程度に目標を設定して必要な対策を実施。これに伴い、概ね1000ガル以上にも耐えうる施設とする。」と回答があったことを知事が報告している。

②2011年6月23日の愛媛新聞。「四電が報告した耐震対策は、現在想定している最大の揺れの強さ(基準地震動570ガ ル)で計算している力の2倍でも壊れない余裕があるか確認し、不足があれば耐震工事などを15年度をめどに完了することが柱。・・・」と報じている。

③2012年6月30日の毎日新聞。「四電は今月18日、3号機の安全上重要な134機器について2倍以上の裕度を確認したと県に報告。このうち12機器は安全評価(ストレステスト)などでは2倍未満だったが、『より現実的な詳細評価で2倍以上を確認した』と主張した。ただ、外部機関の検証は受けていない。」と報道している。

【お詫び】当初③の記事を6月12日の記事と誤った表示をしていました。正しくは6月30日です。お詫びして訂正します。