広島高裁が「伊方原発の運転停止」の命令

山口地裁・岩国支部の仮処分決定を取り消す

   1月17日、広島高等裁判所第4部(森一岳裁判長、鈴木雄輔裁判官、沖本尚紀裁判官)は、山口地裁岩国支部での伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立への却下決定に対する住民側からの即時抗告において、却下決定を取消し、住民らの申立を認める決定を行いました。伊方3号機は現在、定期点検のため運転を停止していますが、この命令により定期点検の後も運転を再開できなくなりました。

200117広島高裁(山口)抗告審決定要旨

記者会見に臨む「伊方原発をとめる弁護団」と「伊方原発をとめる会」

  伊方原発をとめる会と伊方原発をとめる弁護団は、午後4時30分から県庁内の番町クラブで記者会見を行いました。「声明」を中川創太弁護団事務局長が読み上げ、薦田伸夫弁護団長らが記者団の質問に答えました。伊方原発をとめる会共同代表の須藤昭男さんも広島高裁の決定を歓迎し松山地裁での勝利を目指す決意を語りました。会見には、上記の他に松浦秀人事務局次長、事務局の奥田恭子、安藤哲次、和田宰が参加しました。

   声明

広島高裁による伊方原発3号炉運転差止決定(勝訴決定)を受けて

               2020年1月17日

                    伊方原発をとめる会

                    伊方原発をとめる弁護団

 

1 広島高裁第4部(森一岳裁判長、鈴木雄輔裁判官、沖本尚紀裁判官)は、本日、伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件において、山口地裁岩国支部による却下決定を取り消し、住民らの申立てを認め、伊方原発3号炉(以下「本件原発」という)の運転差止を命ずる決定(以下「本件決定」という。)を出した。

 これによって、四国電力は、伊方原発について、現在行なわれている定期検査に伴う運転停止(本年3月29日に送電開始予定)を終えた後も、運転を再開することはできなくなった。

 

2 本件決定は、地震と火山の2つの争点において、住民側の主張を認め、伊方原発の運転差し止めを認める被保全権利の存在を認定した。

 地震について、中央構造線が伊方原発敷地に極めて近い可能性が否定できないと判断し、また、火山について、四国電力が想定した火山灰の噴出量の約3~5倍に上る噴出量の火山灰を想定すべきであるのにこれを想定していないとして、具体的危険性が存在しないことについて四国電力の疎明が尽くされていないと判断し、住民側の主張を認めたものである。

 

3 本件決定は、基本的人権の擁護という裁判所の使命を果たしたものであり、住民側敗訴の司法判断が続く中で裁判官の良心を示した画期的な決定であり、我々は、この決定を歓迎し、高く評価する。

 松山地裁においては、伊方原発の運転差し止めを求めて本訴が係属中であるが、私たちは、本件決定に勇気を得て、伊方原発の危険性を正しく裁判所に判断してもらい、必ず勝訴の判決を得られるよう最大限の努力を継続する。四国電力は、広島高裁で2度にわたって危険性を指摘された伊方原発の運転を自ら停止すべきである。

以上