ドイツの原子炉安全委員のピストナーさんから

collageMrPistner昨年秋、ドイツの原発規制を担う原子炉安全委員会のクリストフ・ピストナーさんが八幡浜で講演しました。(写真は2015/10/20当日の会場様子と、翌日の報道記事などによるコラージュ)
同委員に、以下の質問を送ったところ、このほど返事がありましたので、そのやり取りを掲載します。

当会事務局次長からピストナーさんへ】
ピストナー様
愛媛県の中村知事は10月26日、伊方原発の再稼働に了解を与えてしまいました。
その際、県民に向けた「知事説明」文書の中で、「自然エネルギーは理想だが、今の技術では出力も安定供給もコストの面でも非常に厳しい。ドイツは12兆円の国費を投入し10年以上かけて太陽光発電を進めたが、全電源における供給比率は数パーセント。買い取り価格が高く設定されたため電気料金が上昇し、国民が限界を訴えて2~3年前に買い取り価格を半減するという、やむをえない措置に転じた。」と記しています。ドイツでの太陽光発電のやや困難の一点をとらえて、ドイツの自然エネルギーへの転換が順調でないかのように県民に示し、原発の再稼働はやむを得ないとの自身の判断を正当化しています。
ついては、
① ドイツの全エネルギー量における、太陽光、バイオマス、風力などが占める割合について、
② ドイツの自然エネルギー活用の展望について
最新情報をお教えいただけないでしょうか。

【ピストナーさんからの返事】
和田様
原子力と再生可能エネルギーの必要性をめぐる議論において、実情の認識が進まず、とりわけドイツの現状理解について大きな混乱が見られるのは、大変残念なことです。実は、関連する数値を見れば、本当のところはどうなのか極めて明らかなのですが。
ですから、ご質問いただいたふたつの点に関して、できるだけ正確にお答えできるようにしたいと思います。その際、ドイツ連邦政府の公式文書、すなわち連邦政府の助成を受けた再生可能エネルギーの将来性に関する研究も参考資料としてあげておきます。

質問1(ドイツの全エネルギー量における、太陽光、バイオマス、風力などが占める割合)について

ドイツ経済エネルギー省によれば、2015年のドイツの総電力量は648TWh(6480億kWh)。
そのうち再生可能エネルギーは194TWh(1940億kWh)、すなわち全体の約30パーセントを占める。
194TWhの中でそれぞれのエネルギーが占める割合は次の通りである。
-風力:13.3%
-太陽光:6.0%
-バイオマス;6.8%
-水力:3.0%
-家庭ゴミ焼却:0.9%
それに対し、原子力は92TWh(920億kWh)で、全体の14.1パーセントとなっている。

質問2(ドイツの自然エネルギー活用の展望)について

ドイツ連邦政府は、再生可能エネルギー推進目標として、次のような数字を掲げている。
2025年に総電力量の40~45パーセント
2035年に総電力量の55~60パーセント
2050年までに総電力量の少なくとも80パーセント
また、EUの再生可能エネルギー指令の枠組みにおいても、ドイツは再生可能エネルギーの推進を自らに義務づけている。それによれば、2020年までに、エネルギーの最終消費量のうち再生可能エネルギーの割合を18%、2050年までに少なくとも60%にまで増加させる計画となっている。
ドイツ経済エネルギー省の数字によると、再生可能エネルギーが、最終消費量に占める割合は、1990年には2%だったのが、2014年には13.5%にまで増えた。

【資料と、ドイツ語通訳Yamamotoさんからのメッセージ】

ピストナーさんからの手紙の最初でも言っているように、参考になる資料としてドイツ政府のサイトをいくつも送ってきてくれました。その内容を見ると、再生可能エネルギー開発について、詳しい報告がされていますが、全部を翻訳するには膨大な量なので、とりあえず、ここにそのサイトをお知らせしておきます。それと同じもので、ひとつ英語版を見つけましたので、それもつけておきます。参考にしていただけるかと思います。いずれにしても、ドイツの再生可能エネルギーは驚くほどの勢いで成長しています。ドイツの例を見れば、原発は必要ないということが実証されているのに、免震棟の整備さえも怠ったまま再稼働に突っ走る日本のやり方は、正気の沙汰とは思えません。

英文資料 ここから

ドイツ語資料 ここから

ドイツ語資料2 ここから

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