伊方原発3号機運転差止訴訟 88名で追加提訴 

第1次からの累計原告数は1512名に

 約60名の原告・支援者らが裁判所へと進む

 10月20日13時に、伊方原発をとめる会・伊方原発をとめる弁護団は松山地方裁判所に訴状を提出し第6次提訴(原告88名)を行い、その後、愛媛県庁にて記者会見に臨んだ。

 6次提訴 訴状

 

左から北村親雄さん、中川創太弁護団事務局長、塩川まゆみさん、松浦秀人とめる会事務局次長

 記者会見では以下の「伊方訴訟の経過について」と題する資料を配布。中川創太弁護団事務局長は、この資料を基に今回の提訴についての見解を述べた。また、記者の「提訴のきっかけは」との問いに、新原告の北村親雄さん(松山市在住)、塩川まゆみさん(内子町在住)がそれぞれの想いを語った。

原告・支援者の熱い想いが「原発をとめる」

講演「伊方原発訴訟の現在」

 14時から30名余りの参加で、R-2番町ビルにて報告集会・記念講演が行われた。

 記念講演では薦田伸夫弁護団長が「伊方原発訴訟の現在」と題して、政府の原発回帰への方向転換から話を起こし、原発の問題点、原発をクリーンエネルギーとするまやかしについて言及。福島過酷事故以前の原発訴訟は第1次伊方訴訟も含めて「裁判所が原発反対運動を鎮圧する役割を果たした」こと、3・11後に勝訴判決が出るようになると、最高裁が判決直前に裁判長を差替えるなどの「原発人事」を行い、原発裁判においては「最高裁が鬼門」となる現実があることなどを解説。しかし、原発のコスト、その倫理違反性、世界の趨勢などを考えると、原発をとめるのは「時間の問題」であり、そのためにも原告・支援者が強力にタッグを組んで脱原発の機運を高めることが大事だと熱く語り、聴衆も脱原発への想いをいっそう鼓舞された。

今度こそ判決を」と薦田伸夫弁護団長

20221020 PDF 原発訴訟の現在 薦田講演レジメ

 報告集会では、北村親雄さん、塩川まゆみさんがそれぞれ提訴の感想を述べた。北村さんは、「原告であった妻を亡くしたことでその継承を考えたができないと知り、今回の追訴に踏切った。妻は伊方原発の出力調整実験の際に当時3歳に満たなかった長男を連れて四電高松本社に抗議に行った。37歳となった長男も今回、原告となった」と語った。塩川さんは「3・11をキッカケにIターンで内子に移住した。福島原発事故後に日本で原発が再稼働されるとは予想もしていなかった。愛媛の観光、豊かな自然も命が守られてのもの。原発とは相容れない。実効性のない避難計画も問題だ。しがらみのない私が今後も発信していくつもりだ」と語った。

 会場から「原発をとめた裁判官」で話題の樋口理論について問われた薦田弁護士は、「松山での裁判は樋口理論とは違った視点、つまり四電の主張に対して一つずつ潰していくやり方で行っている。各地の弁護団がそれぞれのやり方でやっていくのでいいのではないか」と応じた。

 報告集会は、松浦秀人事務局次長の「当初は追加原告50人を目標に活動していたが、結果的に88名にも及んだ。この勢いで頑張っていきたい」との閉会の挨拶で終了した。