公開質問書  四電は文書回答を拒否

電話「回答」に対し、近日中に再質問の予定

  7月22日付で伊方原発をとめる会が行った「伊方原発特重施設における長期にわたる保安規定違反に関する公開質問書」に対し、回答期限である同月29日、四国電力は文書による回答を拒否し、広報チーム担当者から「口頭で回答する」旨の電話がありました。

「とめる会」は、文書回答を拒否する四電の姿勢に抗議しつつも、文書にする、しないの議論にとどめず、四電の「回答」なるものを電話にて聴き取りました。(公開質問書提出記事については当HPの7月24日記事をご参照ください)

 四電側の「回答」は、住民の不安や疑問に答えたものとはいえず、担当者は、核心に迫ろうとすると「お答えできない」と回答を避けました。近日中に再質問をする予定です。

提出時にしっかりと書面回答を求めたにもかかわらず、電話による回答が

四電の電話による「回答」

 以下は、電話で聞き取った内容からなるべく正確さを期して文字化したものですが、やり取りに関しては逐語的記録ではなく要旨としてご理解ください。(太字で記している「回答」については、仮に受けとめに齟齬がある場合は、文書での回答を拒否した四電に責任があると考えます。)

質問1 他の電力会社からの報告によるメーカーからの連絡がなければ、「同種の計装設備がすべて事故時に動作不能となる可能性」が継続していたのであり、「動作不能」の状態で過酷事故が発生すると、どのような事態が予想されたのか。

回答1 仮に当該計装設備が機能を発揮できない状態になっていたとしても、従来から設置している計装設備や新規制基準適用時に設置した計装設備から得られる様々なパラメーターを用いてプラント状態の確認、推計が可能であった。

とめる会: これは、公開質問書を届けた際、あなたが語ったこととほとんど同じではありませんか。

四電広報: そうです。

とめる会: これでは中身が全くないですね。

四電広報: もう一つ追加で言えるとしたら、

回答1の補足 周辺環境が一定の条件に達するような過酷な事故時に、一部のパラメータが監視できなかった可能性があるということであった。特重施設のそもそもの機能、これは注水とか減圧であるが、それがそこなわれていたものではない。

四電担当者: これが、今我々がお答えできる精一杯の答えになります。

とめる会: パラメーターというけど、温度や圧力の問題ですか。

四電広報: その類いということしか言えない。一部が見えない可能性があったけども他のもので代替できるよという趣旨です。

とめる会: 水位も含むのか。

四電広報: それはお答えできない。

とめる会: 補えると言っても、完全なものではないですね。「同様に部品が組み込まれていないことが判明した」計装設備の一連のものがどれもデータを出してこないわけでしょう。

四電広報: それがなくても事故対応上に必要なパラメータは見える状態であったということで・・・ これが言える最大のところです。

質問2 特重施設について、2021年10月5日の運用開始以前に、施行事業者によるチェック、原子力規制委員会のチェックだけでなく、貴社独自の全面的なチェックを行ったのか。

回答2 現地据え付け時に、メーカーと共に機能性能の確認などを行っていたが、今後原因を調査し、必要な対策を検討する。

四電広報: 機能性の確認はしている。なんで抜けたのかということはこれから調査する。

とめる会: チェックしたかを問うているのだが、プラントの完全な動作確認はなかったということか。

四電広報: 動作でなくて、消耗品類がついていなかったということだ。監視する機能を確認したが、過酷事故と同じ状態は作れないので、事故状態以外のところでの確認となる。

とめる会: 計装部品のシールやパッキンというようなものの組み込みまでは見落としたということですね。

四電広報: 何で抜けたかをこれから調査する。

とめる会: そういった部品の重要性が認識されない現場であったと言うことですよね。

四電広報: ・・・。

質問3 「プラントの状態を監視する計装設備」の不具合は、特重施設の減圧操作設備、原子炉格納容器加圧破損防止設備、注水設備、電源設備、緊急時制御室の何処と何処に発生したのか。

回答3 特定重大事故等対処施設は、テロ対応の施設なので、計装設備の具体的な名前とか場所とか、数量とか用途などについては、セキュリティ上の制約からお答えできない。

とめる会: 5つの機能は公開しているでしょう。

四電広報: はい。

とめる会: そのうちのどの部分ですか。複数にかかわるのですか。

四電広報: お答えできないんですよ。

とめる会: 何で出来ないのですか。

四電広報: あったことについては説明させて戴いているけど、「特重」の守秘義務の関係があるので、どうしてもそれ以上のことはお答えできない。

とめる会: 減圧操作設備、格納容器加圧破損防止設備などきわめて重大な設備。計装設備から取れなかったときに、単に他のもので代替できるのか、ぜんぜん分からないですよ。

四電広報: 代替できるものであったとしかお答えしようがない。

とめる会: すべて制御室をとおすでしょう。

四電広報: そうですね。

とめる会: その点では、少なくとも制御室に関わると言うことはいえるでしょう。

四電広報: だからそのことは、私からお答えできないんですよ。

とめる会: これは本当に重要な問題ですよ。国民がチェックできない。ひどい問題ですよ。

質問4 9カ月ものあいだ、計装設備の不備に気づかず、放置していたという深刻な状況について、県民は不安を覚え、危険な核を扱う事業者としての貴社の姿勢に不信感を抱いた。県民に対し、謝罪と説明責任を果たす場をもつべきと考えるがどうか。

回答4 当社としては、メーカー等に経緯を含め、詳細な確認を行った上で、原因を特定し必要な対策について水平展開をはかることにより、同様のトラブルが発生しないように努めると共に、適切に公表していくことで事業者としての責任を果たしていきたい。

とめる会: 「特定」するというけど、要するに「付け忘れた」、チェックも見落としたということではありませんか。率直に詫びるべき内容ではないですか。特重施設が出来たと大々的に発表して運転開始しながら、9カ月も部品を付けていなかったということでしょう。

四電広報: 当社としては、たいへん宜しくない話だと思っておりますし、・・・・・・。

とめる会: 先ほどの回答4には、申し訳ないに類する言葉は一切ないですね。よくない、申し訳ないというのはあなたのリップサービスだけではありませんか。会社側としての謝罪はまったくないでしょう。まことに申し訳ないというなら、文字ではっきり示すべきですよね。

四電広報: ・・・・・・

とめる会: なぜ、書面で出せないのか、なはなはだ憤りを感じます。県民に対する態度としても責任を示す態度ではないと厳しく指摘します。これで終わりという訳ではありません。今の、口頭での回答内容は、当会事務局に報告します。