規制委員会に再度の申入れ

四国電力の「保安規定違反」事案について、とめる会では「四電は安全文化不在企業で、原発運転の資格はない」と考え、7月12日に四電、県、原子力規制委員会にそれぞれ「廃炉を求める申入れ」を行いました。

ところが、翌13日に四電は「調査結果」を原子力規制委員会や伊方町に報告したとの新聞報道がありました。が、その調査結果をみても、「企業倫理を徹底する」「更に実効性のある再発防止策を策定する」などの文言に終始していて、原子力発電所を扱う事業者としての緊張感のあるものではありませんでした。また、規制委員会もこの「保安規定違反」を重視せず見過ごす気配が濃厚です。そこで、7月30日に再度、規制委員会に対して伊方原発の廃炉を求める申入れ書を郵送しました。

210730規制委宛の申入れ

2021年7月30日

原子力規制委員会

委員長 更田豊志 様

伊方原発をとめる会

事務局長 須藤昭男

(松山市中央二丁目23-1平岡ビル201)

保安規定違反を隠蔽していた伊方原発の廃炉を求める申し入れ

四国電力株式会社と愛媛県は、7月2日、伊方原発において2017 年から 2019 年の間、宿直要員が必要な人数を満たさない「保安規定不適合」があったと公表した。6月末の内部告発を契機として調査公表したものと説明した。四電も県も「不適合」としているが、事実は「違反」そのものである。

7月13日、四国電力は「伊方発電所における過去の保安規定不適合事案に関する調査結果」なるものを発表した。2016年4月の保安規定の改訂後に発生した無断外出による保安規定違反の事案は5回であって、重大事故時に炉心に冷却水を供給すべき「配管接続班長」が不在となる時間が発生していた。

当該の「配管接続班長」は、ガソリンチケットを用いた38万円の「横領」で2020年5月に停職6か月の懲戒処分を受け、2021年1月に自主退職したとされている。「横領」とは、会社の車で出かけ、燃料を入れる際に容器を持参し、自分の車のためにガソリンを持ち帰っていた事件であるとのことだが、そのことによる保安規定違反を隠蔽し、公表しないままにしていたことこそ、重大な問題である。

四国電力が、「横領」による懲戒処分の際に、保安規定に抵触することに気付かなかったはずがない。7月13日の「調査結果」でも、「宿直当番中に不正に発電所外へ出ているとの噂を聞いたことがあるとの回答が10件寄せられた」ことが記されているのであり、当該班の担当職務を見れば、即座に保安規定違反に気付いたはずである。

およそ3年にわたって保安規定違反を報告せず、内部告発がなければ隠蔽状態を続けていたとみられる四国電力に対し、原子力規制委員会は厳しく制裁を行うべきである。この間に開催された原子力規制委員会において、この点が審議されたとは見えないことから、あらためて下記2点を申し入れる。

1.「配管接続班長」不在の保安規定違反を公表せず、内部告発が無ければ隠蔽を続けていたとみられる四国電力を厳しく制裁し、原発再稼働を認めないこと。

2.保安規定違反のまま原発を運転した四国電力は「安全文化」不在企業であり、原発運転の資格はなく、伊方3号機をとめたまま廃炉にさせること。