伊方原発運転差止訴訟第25回口頭弁論の報告

強風の中、伊方原発をとめるべく粛々と進む

 

 4月15日(木)、松山地裁で伊方原発運転差止訴訟の第25回口頭弁論が開かれました。今回もコロナ感染状況から原告席、傍聴席とも通常の半分の席数に制限されていましたが、18席の傍聴券を求めて80人ほどの人が地裁前に集まりました。

 法廷では、まず中川創太弁護団事務局長から「準備書面85」の要旨の陳述がなされました。原発建設の基礎となる基準地震動の設定に関するもので、規制庁が定めた「地震ガイド」にもとづく「ばらつき」を考慮していないことを指摘したものです。昨年12月に大阪地裁の判決で設置許可を取り消された大飯原発3、4号機と全く同じ事実経過を持つ欠陥だと述べました。

        準備書面85ver4

 次に中野宏典弁護士(山梨県弁護士会)が「準備書面88」に基づいた火山に関わるプレゼンを行いました。火山や地震に関わる科学の不定性を指摘した上で、四電側の主張が、ウソと誤魔化しに満ちたものであることを説き、さらに審理の場をいわゆる科学論争に持ち込み、「専門家の権威」をまとった規制庁等への追随心理の醸成を策している点も指摘しました。裁判所に求められているのは科学的判断でなく、社会的法的判断であることを強調しました。

     準備書面86(火山その7)最終

    準備書面87(火山その8)最終

          準備書面88

       注:準備書面88は準備書面86と同87を要約したものです。

原子力災害時の避難計画は非現実的

立地自治体以外の住民の声が無視されている!

 続いて、浅野修一さんの原告意見陳述が行われました。合併前の愛媛県北宇和郡吉田町長を経験し、現在は宇和島市議であるご自身の立場から、「2011年の福島事故まで、日本で深刻な原発事故が起きるとは想像もしなかった。この事故で原発の恐ろしさを初めて知り、同僚議員と『原発いらんぜ宇和島市民の会』を立ち上げて原発の廃炉を求める運動を始めた」。また「3・11以降、防災計画に原子力災害が加えられたが、地震・津波などの自然災害との複合災害に対応した計画になっていない。特に、福祉施設などへの配慮がないことも問題だ。さらに、避難計画の対象はUPZ(原発から30㎞)圏内の住民だけだが、福島事故では原発から50㎞の飯館村も全村避難となった」、「原発の稼働の是非を判断できる『立地自治体』(伊方原発だと伊方町と愛媛県)の範囲はどうあるべきか。愛媛県知事は、2016年8月の伊方原発再稼働において、『国、総理が責任を負うとしたから同意した』と述べた。逆にいうと、知事としては責任が負えないということになる。県知事が責任を負えないものを県民が受け入れなくてはならないのか。過酷事故が起きれば、その影響は県境さえ越えてしまうのに、伊方町民以外が声をあげても大きな影響を及ぼすことはできない。国民、県民の多数が原発稼働に不安を感じている今、原発が稼働しない社会を強く希望する」と熱く訴えました。

   210415浅野修一さん意見陳述書

 この後、被告の四国電力が「準備書面19」の陳述を行い、最後に、裁判長から次回期日7月15日、次々回11月2日が指定され、閉廷しました。この間およそ1時間の審理でした。

記者会見・報告集会

 R2番町ビルでの記者会見・報告集会には、4名の報道関係者も含め40名が参加しました(こちらの会場も座席は半分に制限されています)。

 中川弁護士、中野弁護士のほか、地元の高田義之弁護士、広島の定者吉人弁護士、浅野さんが前に座り、法廷での審議の報告や感想が述べられました。

ソーシャルディスタンスを保って
密を避けて二人机に一人
報告集会で感想を述べる浅野修一さん

 中川弁護士は「地震動に関して被告側はこれまで欺瞞的な説明、主張、立証方法に終始して、科学論争に持ち込もうとしているが、その相手をするつもりはない。地震ガイドでルールを守ってばらつきを考慮して審査をしたか、と事実を問うている」と説明しました。

地震ガイドのルールを守って審査したかの事実を問う、と中川創太弁護士

 中野弁護士は、法廷でのプレゼンをわかりやすく紹介した後、「われわれは誰にでもわかる裁判をやっている。放射能は少量でも害があり、その許容量とは受忍限度というより実態は『がまん量』である。社会通念という言葉で、受忍限度の問題がごまかされているが、原発については一部の技術者や科学者のみではなく、色々な人の意見を聞かなくてはならない。そうでないと法治国家とは言えない」と熱弁をふるいました。

法廷でのプレゼンについて熱く語る中野宏典弁護士

 この後、参加者からの質疑応答が活発に行われ、弁護団からは、これからの訴訟の方針の説明や、3月18日に出された広島高裁の異議審の不当決定と、東海第2原発の運転差し止めを命じた水戸地裁の判決についての解説がなされました。最後に須藤昭男原告共同代表の挨拶で報告集会は閉会しました。