曽根医師の報告におおきな衝撃

130623sonekoen6月23日の片山恭一講演会の冒頭に、新居浜協立病院の曽根康夫医師が福島での「被ばくの影響」について報告を行いました。短時間での報告でしたが、示された事実は、聴くものに強い「衝撃」を与えました。
講演会の様子は、IWJで記録されています。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/86510

報告は、昨年12月16日に福島市、川俣町、飯舘村に入った様子から始まりました。映像を示しながら語りました。持参した線量計で、福島市の中心街でも年間5ミリシーベルトを超える箇所がいたる所にありました。飯舘村では、役場など「徹底除染」された部分は線量が低いが、住宅地すぐそばの草原では年間30ミリシーベルトを超える線量が測定されました。除染しても根本解決できない放射能汚染の深刻な事態が伝わりました。

続いて、曽根医師は、放射性ヨウ素131による甲状腺被ばくについて語りました。

2011年度に福島県の0~18歳について甲状腺エコー検査を行った結果は、4割近くにしこり・のう胞がみられました。今年2月には福島県民健康調査で、38,144人のうち182人が二次検査を受け、10人が甲状腺がんもしくはがんの疑いと判定されました。後に10名とも手術を受け癌と判明しています。10万人中26人の割合となり、これまでの日本の甲状腺がん発症率の25倍を超えています。6月には福島県民健康調査の検討委員会が、17万4千人を対象にした調査において、甲状腺癌・癌の疑い患者が27名もがみつかったと公表しました。引続き通常の25倍以上の発症率です。

これについて、2通りの受けとめ方があると言います。反核医師の会の広島協立病院の青木克明医師のように率直に「異常ではないのか」と見る医師たち。もう一つは、福島医大の鈴木真一教授のように「検診によるスクリーニング効果で、将来見つかるべき癌が早くみつかっただけ」とする見方です。残念ながら医学会の「権威ある」専門医の多くがその見方をしているようです。

曽根医師はNPO放射線衛生学研究所長の木村真三氏の資料を紹介しました。「福島で2次検査の必要な人が1140人。このうち検査を受けたのが421人。結果が出たのは383人。この383人中から27人が癌または癌の疑いとされたのである。検査が進むと通常の50倍以上の発症となる可能性もある。」というものです。このことから見ても、「25倍を超える発症の全てがスクリーニング効果とは思えない」としました。

曽根医師は「まとめ」として、①法令で居住が禁止される5~20ミリシーベルト汚染地域に乳幼児を含む人々を住まわせるのは「棄民政策」に他ならないこと。②児童生徒に通常の20倍以上の割合で甲状腺癌が発見されているのは、常識的に考えれば異常な事態であり、いっそうの健康調査と継続が必要であること-を示し、福島での被ばくの影響からの結論は、「原発のない社会!」であると訴え、報告を終えました。