第13回定期総会の報告

記念講演を聴く聴衆 机上には ”NO Nukes!” ”原発ゼロの日本YES!“のうちわ

 伊方原発をとめる会の第13回定期総会が、5月28日(日)コムズ(松山市男女共同参画推進センター)5F大会議室で開催された。総会は須藤昭男事務局長の開会挨拶でスタート。一般公開の記念講演には約100名の参加があった。

海渡(かいど)雄一弁護士 記念講演で         福島原発事故、GX法案、子ども甲状腺がん裁判を語る

 海渡弁護士(脱原発弁護団全国連絡会共同代表)は20頁にわたる資料を配布、更にパワーポイントを駆使して講演60分、質疑15分という制約された時間のなかで上記3つの話題を中心に分かりやすく話を展開した。

 多くの論点が提示され、どれも今まさに私たちが再確認すべきものばかりだった。その中でも圧巻はマスコミが国民に伝えなかった国と東電の「想定外」という言い訳にまつわる、島崎邦彦著「3.11 大津波の対策を邪魔した男たち」(2023年3月刊青志社)を引用しての以下の話だった。

国・東電ともに「地震・津波は想定外だった」と大嘘をついていた

 3.11の東北大震災は「想定外の地震・津波」と表現されることが多いが、これは大うそである。当初の予定では3月9日に地震調査研究推進本部 (以下、推本)の長期評価改訂版が公表の予定で、そこには巨大地震や巨大津波の危険についての警告が明記されていた。ところが、それに対する対策をとっていない東電が暗躍し、保安院や推本の事務局などを巻き込んで、発表時期を4月に遅らせた。そればかりか、実際に3.11の大震災が発生した後は、「想定外」と言いつくろって国民を誤魔化し続けている。

 3月9日に公表されていたら、3.11被災時に「これがその地震かも」と逃げられた命があったかもしれない。にもかかわらず、推本事務局は「この地震は想定外」で押し通した。東電の清水正孝社長(当時)も「津波が大幅に想定を超えていた」と大うそをついた。これは本来、報道すべき大スクープであるのに、マスコミはこぞって沈黙した。

福島原発事故のスライドに見入る聴衆 

記念講演資料PDF 海渡弁護士 記念講演資料

この資料の目次は以下の通り:

はじめに 他に安全で合理的な発電方法があれば、脱原発を選択すべき

第1 福島原発事故の責任をめぐる闘いー福島原発事故を忘れるなー

第2 事故の直前から直後の時期に何が起きていたか 

第3 原発GX法案をめぐる闘い

第4 子ども甲状腺がん裁判の現段階

第5 汚染処理水の海洋放出をするな

第6 結論

パワーポイント資料PDF:しばらくお待ちください

この講演はツイキャスでも同時配信された:https://twitcasting.tv/togura04/movie/768100434

東電と国の過失で起きた福島原発事故の被害を忘れるな原発GX法案は福島原発事故を忘却した愚かな政策だ

第13回定期総会  裁判もいよいよ終盤を迎えて

議長を務めた曽根康夫さん(左)と中村圭司さん(右)

 第13回定期総会は、議長に曽根康夫さん、中村圭司さんを選出した後、先ず、中川創太弁護士(伊方原発をとめる弁護団事務局長)から、この1年間の裁判の経過説明があった。

裁判の経過説明をする中川創太弁護士

 中川弁護士の話:

 2011年の提訴から12年経った。2016年に仮処分申請を行ったことで本訴は2019年まで中断したが、仮処分敗訴後は本訴に戻り、口頭弁論は第34回まできた。このうち第32回までは原告の意見陳述だったが、第33回からはいよいよ証人尋問に入った。今後の予定は、6月20日に原告側の芦田譲京都大学名誉教授(物理探査学会元会長)と町田洋東京都立大学名誉教授(火山学者)の2人の証人尋問があり、その次の日程は8月22日に被告側の証人調べが決定。その後も、ほぼ毎月、証人尋問が続くので、原告・支援者の皆さんは法廷に詰めかけてほしい、参院で通過目前のGX法案が裁判官に与える影響も考えると、なおのこと私たちの頑張りが目に見えるものであることが肝要だと訴えた。

 次に、泉京子事務局員より経過報告、続いて同じく奥田恭子事務局員より決算報告、監事の篠崎英代さんより会計監査報告があり、それぞれ承認された。

 続いて、松浦秀人事務局次長より2023年度の活動方針案、予算案、役員案が提示された。2023年度の方針の中心は、終盤を迎えた運転差止訴訟を、弁護団と力を合わせて全力で闘い抜いて勝利判決を勝ち取ることにあると強調された。方針討議の中で、若者を惹きつける策として是非、営農型ソーラーシェアリングによるブルーベリー等の耕作オーナーの募集活動などの再エネ事業にとめる会として関与する旨、議事録に明記願いたいとの要望があった。またドイツの脱原発の実施に際して日本の蓄電技術が大きく貢献している点なども広報活動で重視すべきではとの意見があり、いずれも方針への補強意見として採用すること、再エネ事業への関与については、議事録に残し事務局で検討していく旨の答弁があった。その後に活動方針、予算、役員に関わる提案が一括して採択された。

最後に越智勇二事務局次長の閉会の挨拶で総会は終了した。

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