田中優氏「エネルギーを私たちの手に」と講演

tanakatosiryo12月23日、自然エネを活用し、電力会社に依存しない生活(オフグリッド生活)を実践している田中優さんを講師に学習・討論を行いました。愛媛県美術館講堂で開催された集会には100名が参加しました。(コラージュは田中氏と講演資料から)

田中さんは、自然エネ買取り保留問題が原発再稼働をねらう問題と深くかかわっていることを踏まえた上で語りはじめました。太陽光発電の買取り制度が4分類されている中で、10KW未満~50KWが突出して急増したこと。中規模以上でありながら「分譲」によって小規模化し、キュービクル設置や電気主任技術者をおく負担を避けた形が急増したことを説明しました。(いわゆる「分譲」は4月から禁止されました) 田中さんは、ドイツと比べつつ課題を明らかにしました。ドイツでも太陽光発電は急増していますが、風力やバイオマスも急増しています。風力は風のある「適地」よりも、そうでない地域の買取価格を高くしています。適地だけに偏らず比較的分散する傾向をつくったと言います。また、バイオマスやバイオガスの買取価格は小規模に単価を高くしています。さらに融通による調整も加え自然エネが伸びています。日本の場合、「調整力」を持たない形で急増しており、「蓄電」機能が不可欠になっているのだと指摘しました。

また、「最大の発電所は節電」だとし、買取条件の調整によってピーク電力を引き下げることも重要だとしました。北九州の八幡地域で実践された結果によると、ピーク電力を26.4%引き下げたと紹介しました。また、電力消費の3分の2は事業系だが、事業系の価格は節電を促すものになっていないこと、電力会社の儲けの9割(過去5年間の東電の場合)が家庭向け電力の収益であることも指摘しました。「オール電化」のような無駄を廃止し、省エネ家電を活用したうえで、さらに自然エネを「進化させて利用」しようと訴えました。「自給するエネルギー」をめざす上で重要なバッテリーを比較的廉価に導入できる技術や、太陽光パネルをメンテできる比較的低い位置に設置することを推奨しました。

質疑の中では、参加者から、原発再稼働を許さないために「揚水発電」の活用についても語られました。田中氏は、既存のものを活用することは許容されるだろうと語りました。そして、なんと言っても電力会社の収益の中心になっている「家庭用」電力を使用する世帯が、「オフグリッド」に向けて動いていくことのインパクトを強調しました。