事務局長挨拶

第80回拡大幹事会挨拶

2018年10月15日

事務局長 草 薙  順 一

消された光

1969年7月8日付の新聞に、伊方町に原発誘致の記事が掲載されました。同日、伊方町長は、関係地主120人の内、すでに70人が用地買収の仮契約を済ませていることを明らかにしました。秘密裏に事を進めていたのです。7月28日には臨時町議会で「原発誘致」を満場一致で決めました。以後約50年間、「命を守る」ための裁判闘争が住民によって始まりました。四国電力を被告とした土地売買無効確認訴訟、愛媛県知事を被告とした海水面埋立許可取消訴訟などのほか、反原発ビラ貼り刑事裁判までありました。

伊方原発を直接に対象とした裁判だけでも、6度目まで判決や仮処分決定ですべて住民敗訴でした。7度目に「火山現象」を理由に「伊方原発の立地は不適」という、2017年12月13日の広島高裁決定が初めての勝訴であり、光でした。決定内容は「2018年9月30日まで伊方3号機を運転してはならない」というものでした。火山現象を除いては、「新規制基準が合理的であり、伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断も合理的である」と述べた点や「期間が9月30日まで」と制限されていたことには、全く納得できず不満でした。それでも「原子炉を運転してはならない」という言葉に私たちは歓喜したものでした。

しかし、この喜びの光を消し去る決定が、2018年9月25日、異議審の広島高裁でなされました。その理由は、巨大噴火の危険をどのように想定すべきかは、社会通念によって判断せざるを得ないとし、①発生頻度が著しく少ない。②国は具体的対策を取っていない。③国民の大多数が格別問題にしていないと述べて、自然災害として想定しなくても安全性に欠けるところがないとするのが社会通念であり、立地不適にならないと述べました。

更に2018年9月28日には、大分地裁の仮処分決定は「立地不適とせずとも原発の有する危険性が社会通念上無視し得る程度にまで管理され、客観的にみて安全性に欠けるところがないと評価できる。よって却下する」というものでした。

キーワードは「社会通念」です。「社会通念」とは広辞苑によれば、「一般社会で受け入れられている常識又は見解。良識」とあります。原発の有する危険性を一般社会が無視しているとはとてもいえません。そのことは世論調査でも明確です。裁判所の決定は条理に反しています。

なぜ条理に反した判断をするのか。その原因は3つあると私は思っています。第1は、裁判所は人事権と予算を政府に握られています。政府に弱いのです。第2は裁判官教育です。2013年2月の全国の原発担当の裁判官を集めての研究会でも「1992年の伊方最高裁判決の抑制的スタンスが妥当である」とか、「原発政策は高度の政治問題であるから、専門的知識を持たない裁判官がさまざまな司法判断を示せば、国のエネルギー政策に大きな混乱をもたらす」などの発言を外部講師などがしています。第3は送り込み人事です。最高裁事務総局経験者を原発担当の裁判官に任命しています。

従って今後も「社会通念」とか、「規制基準やその適合性に不合理はない」との裁判所の判断が続くと予想されます。

しかし、この不条理に私たちは負けることはできません。「正義は我にあり」です。「命を守る」為に、愚直に原発廃絶の運動を続けなければならないと決意するものです。

第79回拡大幹事会挨拶

2018年6月28日
事務局長 草 薙 順 一

原発は人類と共存できないのです。しかも今や原発は斜陽産業です。放射能を出し続ける原発を、日本政府は愚かにも、原発輸出を成長戦略に位置付けています。

日立製作所は英中西部のアングルシー島に2020年代半ばの運転を目指して2基の原発建設計画を進めています。日立は2012年に英原子力会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収しました。安全規準が厳しくなったことで、当初1兆5千億円から2兆円であった原発建設費用が、3兆円に膨れ上がりました。自社のリスクを回避したい日立は、日・英政府に支援を求めています。英政府が約2兆円を融資する。残りの約1兆円を日立・日本の政府系金融機関・英国政府と現地企業の3者で出資する案が検討されています。日立はきっぱりと原発からは手を引くべきです。巨額損出が発生した場合に、そのつけは最終的に英・日の国民が負担することになります。アングルシー島住民も5月下旬に福島県を視察し、原発建設反対の意思表示を日本政府にして帰国しました。

日本国民も原発輸出反対の声を大きくして、日本政府に届けなければならないと思います。

第78回拡大幹事会挨拶

2018年5月15日

 事務局長 草 薙 順 一

原発ゼロ基本法案

原発ゼロ基本法案(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法)が、2018年3月9日立憲民主・共産・自由・社民の四党と、無所属の会2名による共同提出で国会に提出されました。この法案には、①基本理念として、すべての原発を速やかに停止、廃止する。②施行後、5年以内にすべての原発を廃炉にする。③再生可能エネルギーの割合を2030年までに40%以上とする。④廃炉作業を行う電力会社や立地地域の雇用・経済対策について、国が必要な支援を行う。⑤送配電事業の分離。⑥「エネルギー協同組合」制度の創設等が盛り込まれています。

この法案は、2018年1月10日に、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(会長吉原毅)が記者会見を行い、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表し、立憲民主党などと連携すると述べていました。その後、立憲民主党が野党5党に呼びかけましたが、希望の党・民進両党は応じませんでした。

これまでにも脱原発の法案は取り組まれました。1986年4月のチェルノブイリの事故後の1988年4月に、①建設中・計画中の原発は、建設・計画の続行を認めず、直ちに廃炉とする。②現在運転中の原発については、法案成立後一定期間内(たとえば一年以内)に運転を停止し、廃炉とする等というものでした。この時は、高木仁三郎先生らが中心になって、署名活動も展開し、約350万筆が国会に提出されましたが、制定は果たせませんでした。そして2011年の福島原発事故を受けて、2012年9月7日に「遅くとも2025年度までの出来る限り早い時期に脱原発を目指す」との「脱原発基本法案」が、国会に提出され、超党派による議員立法を目指しましたが、国会ではほとんど議論もなく、法制定には至りませんでした。

今回も原発ゼロ法案の成立は極めて困難と思料されます。その理由は、政府の2030年に向けたエネルギー基本計画(2014年に閣議決定)では、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、電源構成の20~23%を原発で賄うとしています。更に、2018年4月10日には、経済産業省の有識者会議である「エネルギー情勢懇談会」は、2050年を見据えたエネルギー戦略をまとめました。その中で、引き続き原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と明記しています。頑なに原発にしがみつく無責任な姿勢に変化はありません。夏までには閣議決定の予定です。

しかしながら、原発ゼロ法案が国会で活発な議論がなされることを期待するとともに、国会外でも大衆的な運動の盛り上がりを必要としていると思います。

以上

 第77回拡大幹事会挨拶

 2018年3月22日
事務局長 草 薙 順 一

「3・11」を「原発ゼロを願う日」とする

福島原発事故から7年が経ちました。原発事故で避難している人の数は、復興庁のまとめで、2018年2月現在、7万3、349人です。実際には10万人以上の人が避難していると考えられています。自主避難者は昨年3月末で住宅無償提供が打ち切られました。政府は年間20ミリシーベルト以下なら住めると避難指示区域を順次解除して、帰還政策を進めています。避難者は苦悩のただ中にいます。福島県の子供の甲状腺がんの集計では、約38万人の対象者の内、現在までに194人の子どもが甲状腺ガンと診断され、160人がすでにがんの摘出手術を受けています。内8人は(6歳から15歳)、がんの再手術をしています。まさに命が傷つき、奪われ続けています。

福島の自然も放射能で悲鳴を上げています。双葉町・大熊町・浪江町を中心とした帰還困難区域にある農地2,400ヘクタールは、作付ができません。現状は田にススキや低木が生い茂り、軽トラックにツタがからみつく田園風景です。人影はなく、事故前の水田や梨園は見る影もありません。人は「大地が人を生かしている」ことを忘れてはなりません。

今も事故を起こした原発の原子炉内に入ることができないばかりか、熔け落ちた燃料(デブリ)は、その状態さえ把握できません。原子炉の解体も目途がありません。建屋には地下水や雨水が一日約500トン流れ込み、タンクを増設中です。「原発事故は終わっていない」のです。緊急事態宣言は発令されたままです。復興のスタートさえできません。このような状況は、原発は人類と共存できないとの証拠を突きつけています。原発再稼働はどう考えても狂気そのものです。原発は必要ありません。原発は安全ではありません。原発はクリーンな電源ではありません。

「3.11」こそ、原発ゼロを人々の心に刻みつける日です。「3・11」を「原発ゼロを願う日」と心に刻み、「何よりも命を大切にして歩みたい」と申し上げてご挨拶といたします。

第76回拡大幹事会

 2018年2月27日
事務局長 草 薙 順 一

            日米原子力協定

日本に再処理を認めた「日米原子力協定」が、2018年7月16日に30年の効力期限を迎えます。両国とも解除などの通告をしないまま6か月前の1月16日が過ぎました。その時点で期限を定めない自動延長が確定しました。今後は、一方の国が6か月前までに文書で通告すれば協定を終了させることができます。なお、日米安全保障条約が解消すれば、「日米原子力協定」も自動的に解消されます。

1968年の「日米原子力協定」は、使用済み核燃料について、再処理したり、外国への輸送は個別に米国の同意を必要としていましたが、1987年の「日米原子力新協定」では、日本による再処理に包括的事前同意を与えており、再処理について、米国の同意は不要です。

日本政府が、「日米原子力協定」を存続させる理由の一つは、核燃料サイクルにより、プルトニウムを持ちたいということです。その背後には、愚かにも「潜在的核兵器」を保持したいという願望があります。いわゆる核抑止力です。

しかしながら、核燃料サイクルは完全に破綻しています。高速増殖炉「もんじゅ」は、2016年12月に廃炉が決定されました。もう一つの主要施設である六ヶ所村の再処理工場も稼働の目途はありません。20年前に完成予定であったものが、24回も延期し、現在では2021年の上半期に稼働を予定していますが、多くの部品が既に老朽化しており、稼働は不可能だといわれています。総事業費も13兆9,000億円となっています。もし、稼働しても使い道のないプルトニウムを年間約8トン生み出して、何も意味もありません。既に日本には、2016年末で約47トンのプルトニウムを保持しています。長崎型原発で約6,000発分です。核燃サイクルは、技術的・経済的理由でほとんどの先進国が開発を断念しています。サイクル費用は電気料金の形で国民が負担することになっています。浪費の一語に尽きます。一日も早くやめるべきです。政府が再処理をやめると宣言した瞬間、使用済み核燃料は「資源」ではなく、「ごみ」となります。青森県も六ヶ所村にある使用済み核燃料を、持ち込んだ電力会社に対して、持ち帰ってくれと要請します。そのような問題があっても、先送りせずに原発をやめて、後始末をする方向にかじを切らなければならないのです。

結論は、日本は「日米原子力協定」も不要ですし、「核燃料サイクル」も不要です。脱原発・自然エネルギーの道こそが、わが国を救います。

第75回事務局会あいさつ

2018年1月16日
伊方原発をとめる会 草薙順一

伊方原発は、立地不適との判断

(はじめに)

2017年12月13日広島高裁は、伊方原発3号炉運転禁止仮処分申立却下決定(2017年3月30日広島地裁決定)に対する即時抗告事件において、原決定を変更し、2018年9月30日まで伊方3号炉の運転禁止を命ずる決定をしました。裁判所は「伊方原発の立地は不適」であると述べました。

仮処分は即効力が発生しますので、この決定を受けて、四国電力は現在定期検査中の伊方原発3号機について、2017年12月に予定されていた核燃料の装填を中止しました。予定されていた2018年1月からの再稼働はできなくなりました。45年に及ぶ伊方原発訴訟の闘争の中で、初めての光でした。

(伊方原発と裁判)

伊方原発訴訟にとっては、7度目の裁判所の判断でした。2011年の福島原発事故前に判決が4度、事故後に原発運転禁止仮処分決定が2度です。6度目まで、すべて住民側敗訴でした、行政従属の判決ばかりでした。

伊方原発の訴訟としては、三度あります。一度目は伊方原発1号炉の国を被告とする設置許可取消訴訟です。二度目は伊方原発2号炉の国を被告とする設置許可取消訴訟です。一度目と二度目の判決はすべて住民側敗訴です。

三度目は、福島原発事故以後の2011年12月8日に松山地裁に提起した、四国電力を被告とする伊方原発稼働停止訴訟です。三度目の訴訟は、松山地裁に引き続いて、広島地裁、大分地裁、山口地裁岩国支部で訴え提起がなされ、同時に原発運転稼働停止仮処分も申立ています。そして、三度目の訴訟では判決はどこの裁判所もまだ出ていません。しかし、広島地裁(2017年3月30日)と松山地裁(2017年7月21日)では、伊方原発稼働停止の仮処分申し立てについて、裁判所から決定が出て、いずれも却下になっています。

ところで、一度目の裁判は、日本で最初の伊方原発1号炉の設置許可取消訴訟で、1973年から始めた裁判です。1978年4月25日の第1審の判決日に、松山地裁の玄関に、敗れた原告側の垂れ幕に「辛酸亦入佳境」とありました。田中正造の言葉でした。控訴中の1979年にスリーマイル島での原発事故がありました、控訴審判決は、1984年12月14日でした。判決理由中に、スリーマイル島の原発事故に触れ「人為ミスによる事故は、安全審査の違法性に関係ない」と述べ、控訴棄却でした。最高裁判所に係属中の1986年にチエルノブィリ原発事故がありました。住民らの弁論開始の申し立てにも一切答えず、1992年10月29日の判決となりました。チエルノブィリ事故には一切触れず、「伊方原発の審査・許可処分に行政庁に不合理な点があるとはいえない」と述べて上告棄却でした。不合理でない理由は一切述べないのです。述べれば内容に踏み込まざるを得なくなり、許可処分取り消しは当然の帰結であるからです。

伊方原発の二度目の裁判は、2号炉の設置許可取消訴訟でした。第1審判決は、2000年12月15日でした。請求棄却でした。この訴訟では住民側は勝訴の期待を抱きました。なぜなら、伊方原発沖にある中央構造線が活断層であることを、1996年に高知大学の岡村真教授が発表していたからです。しかし、判決は「重大事故が起こる可能性が高いとまではいえない」と述べ、そして異例のコメントを付けました。「本件で争われたのは、行政庁の判断の適否であって、原子炉施設の絶対的安全性ではない。ひとたび事故が起こったならば、被害を受けるのは周辺住民である。国や電気事業者らには厳重な安全規制と万全の運転管理の実施をはかることを強く求められる」と。住民側はこの判決に深く落胆して、控訴を断念しました。

(火山現象と裁判)

火山現象は、福島原発事故後において、新規制基準で原発から160キロ圏内の火山の影響調査を義務付けました。四国電力も火山リスクの評価をしていますが、松山地裁の仮処分決定(2017年7月21日)は「合理的に予測される規模の自然災害に備えれば足り、発生し得る最大限度の自然災害に備える必要はない」と述べて、想定外の自然災害を考慮する必要はないというものでした。

広島地裁の仮処分決定(同年3月30日)では、原発の安全確保の上で、「破局的噴火」は想定しなくてよいと述べていました。

これに対して今回の広島高裁決定は、火山ガイド(原子力委員会が策定した安全性審査の内規で、火山影響評価ガイド)に基づいて、忠実に判断したのです。火山ガイドでは、「過去最大の噴火規模を想定し、設計対応不可能な火山現象(火砕流)が原子力発電所に到達する可能性が十分に小さいと評価できるか否か。もし評価できない場合には、原子力発電所の立地は不適となる」と記載されています。この火山ガイドを忠実に適用した場合、四国電力の9万年前に発生した阿蘇噴火の火山事象(火砕流と降下火砕物)の評価が過小であるというものです。

従って、原子力規制委員会の伊方3号機の再稼働を許した判断は不合理であり、伊方原発は「立地不適」との決定をしました。(なお、過去の阿蘇カルデラの巨大噴火では、北海道でも10センチの降灰があったことが分かっています)

この決定に対して四国電力は2017年12月21日異議の申立と執行停止の申立を広島高裁にいたしました。今後の成り行きが注目されます。

(今後の問題)

1 四国電力は今回の決定に対して、2017年12月21日に、異議申立と執行停止の申立をしました。四国電力は火山現象のみに絞って審理を進めて欲しいと述べています。広島高等裁判所で異なる部で審理が続くことになります。住民側にとっては、主たる争点の、基準地震動で原発を止めて欲しいとの切なる願いがあります。伊方原発が稼働した時には、中央構造線は活断層ではなかったことが前提で設置許可されているからです。また、南海トラフも全く考慮されていないのです。当初は基準地震動が200ガルでした。現在では、650ガルとなっています。数字は変わっても、同じ原子炉ですし、耐震工事をしたわけではありません。ただ数字を変えただけです。数値を引き上げても耐震力は建設時のままです。2016年の熊本地震では1,000ガルを超えていたのです。そもそも基準地震動の策定は不可能です。従って、2005年以降の10年間で、4か所の原発(柏崎刈羽・志賀・女川・福島)で、5回も基準地震動を超える地震が発生しています。

従って、広島高裁が、伊方原発3号炉について、基準地震動の650ガルは、合理的と判断したことは、将来に大きな懸念を残しました。

2 伊方2号炉について、廃炉にするか原子力規制委員会に再稼働の申請をするかについて、四国電力は2018年3月末までに決定すると述べています。今回の広島高裁の決定が、廃炉に大きく傾むくことは間違いないと思います。四国電力は「司法リスクは計算済み」と述べていますが、今回の決定は想定外であったはずです。原発再稼働の理由が「投下資本の回収」と述べている以上、伊方2号機の安全対策費用に少なくとも約1,000億円(3号炉は約1、900億円を要した)が見込まれるだけに、慎重さが求められるからです。今後は火山事象対策費がかさんできます。

3 我が国は火山大国です。このことを改めて思い知らされました。今回の決定が全国の原発に及ぼす影響は計り知れないと思います。九州の玄海原発(佐賀県)も川内原発(鹿児島県)も160キロ圏内です。今回の決定のように火山ガイドを忠実に実行すれば、日本では原発の適地は存在しないことになります。

4 「原発のない暮らしを求める人々」にとっては、今回の決定は大きな力となりました。                       以上

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第74回拡大幹事会あいさつ

2017年12月9日 事務局長 草薙順一

伊方原発2号炉の廃炉を要請する理由は次の通りです。

1 四国電力株式会社は、伊方原発2号炉について、「本年度中に廃炉にするか再稼働にするかの決定をする」との報道がされています。原発が危険である事は、言うまでもないことです。県民が安心して暮らせるためには、「伊方原発2号炉を廃炉にする」以外に選択肢はありません。

2 伊方原発2号炉を再稼働させることの必要は全くありません。何らの合理性も公益性も見出すことはできません。電力の不足はありません。四国電力株式会社は、電力の供給には余力があります。

3 伊方原発2号炉の運転開始日は、1982年(昭和57)3月19日で既に35年以上が経過しています。改正原子炉等規制法では、運転期間は原則40年と定められています。運転期間が原則40年ということは、原発という過酷な運転によって、原子炉や配管などの劣化による危険を考えてのことです。従って、伊方原発2号炉の耐用年数は既に終わっており、しかも、2号炉の運転停止は、2012年1月13日で、もうすぐ6年になり、停止による器機の劣化は避けられません。伊方原発2号炉の再稼働は危険きわまりないことです。

4 伊方2号炉の運転再開の為には、多額の安全対策費が必要です。東海第2原発(茨城県東海村)の安全対策費用に1,800億円を要したと報道されています(2017年11月25日付愛媛新聞)。伊方原発2号炉の安全対策費用も、多額な金額が想像されます。40年廃炉であれば、稼働期間は4年程度しかなく、採算的にはとても合わないと考えられます。もし、40年以上の運転をも狙っているとすれば、許されるものではありません。投下資本回収の為に、命を差し出すことはできません。

5 伊方原発2号炉は、伊方原発の沖合に存在する中央構造線は、活断層ではないことが前提で許可されています。その後の調査によって、活断層であることが明らかとなりました。また、南海トラフの震源域の真上に存在していることも考慮されていません。地震は起きないとの前提は崩れています。明日伊方において、2016年発生の熊本地震のような、大きな地震が起こっても不思議ではありません。

6 伊方2号炉が再稼働すれば、髙レベル放射性廃棄物(いわゆる核のゴミ)が発生します。この「核のゴミ」は危険であるだけでなく、処理ができません。10万年もの間、保管が必要です。保管場所もなく、これ以上「核のゴミ」を増やし、将来に負担を押し付けることは、倫理上も許されません。(愚かなり 悪魔ほほえむ 再稼働)

以上

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第73回拡大幹事会あいさつ

        2017年10月31日 事務局長 草 薙 順 一

良心を捨てた裁判官

すべて裁判官は、その良心に従い、独立してその職務を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される(憲法76条)と規定されています。「良心に従い」とは、「裁判官が有形無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで、自己内心の良識と道徳感に従うの意味である」と最高裁判所も述べています(最判昭和23年11月17日)。更に「独立して職務を行う」とは、個々の具体的事件を担当する裁判官が、司法部の外からはもとより、司法部の内部においてもいかなる命令・指示・圧力を加えられることなく、独立して裁判を行うことを意味しています。そして裁判官が独立して職権を行使できるようにするために身分保障もしています(憲法78条)。すなわち裁判官は、公の弾劾(国会の設置する弾劾裁判所)によらなければ罷免されないのです。

私の接した多くの裁判官は、法に従い、論理に従い、正義に従った方々でした。裁判所の判断は国家権力の行使であるだけに、そして国民の基本的人権に深くかかわるだけに、どんな批判にも耐えるぞという矜持(誇りないし自負)を持った方々でした。

ところが、2017年7月21日、松山地方裁判所の裁判官の、伊方原発3号炉の運転差止仮処分申立事件について、却下決定の理由は、「裁判官の良心を投げ捨てたものである」と言っても過言ではありません。紛争の争点は、伊方原発3号機再稼働の可否です。ところが、伊方原発3号機の再稼働の危険性について、真正面から審理しませんでした。驚くことに福島の事故はなかったかのごとく、「安全神話」そのままです。以下は裁判所の述べたこと(私の要約)と私の批判です。

  • 「原発に最新の科学的、専門技術的知見の予測を超えるような絶対的安全性を求めることは、社会通念になっていない」と述べています。すなわち、伊方原発3号機の再稼働は社会通念であると述べているのと同じです。原発の運転と車の運転を同視しています。
  • 「新規制基準の設定に不合理な点はない」と述べています。何が合理的かの基準を示していません。新規制基準が国際基準(5重の防護)にも満たない不合理なものであることは明らかです。
  • 「合理的に予測される規模の自然災害に備えれば足り、発生し得る最大限度の自然災害」に備える必要はない」と述べています。福島での原発事故は考慮の外です。事故が起こった場合の被害の甚大さは考えていません。無責任のきわみです。
  • 「伊方原発3号機の安全性が、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の調査審議と判断の過程に、看過し難い過誤・欠落はない」と述べています。基準地震動650ガルが過小評価であることは、中央構造線の存在から明白です。伊方3号機の危険性を無視しています。
  • 「避難計画は、訓練や修正がなされて現時点では問題はない」と述べています。佐田岬半島には約5,000人おり、事故の場合に避難できないことは明らかです。避難計画は机上の空論です。

以上要するに、論理と事実を無視し、命を軽視し、「裁判官としての良心」を投げ捨てた無責任決定です。この決定が高松高等裁判所で維持されるはずがないと確信しています。

以上

第72回拡大幹事会挨拶

2017年9月19日 事務局長 草薙順一

2017年7月21日、松山地方裁判所は、住民の人格権に基づく妨害予防請求である、伊方原発3号炉の運転差止仮処分申立事件について、却下決定としました。松山地方裁判所は伊方原発3号機の危険性について、真正面から審理しませんでした。驚くことに福島の事故を忘れたかのごとく、安全神話そのままに、次のように述べています。

原発に最新の科学的、専門技術的知見の予測を超えるような絶対的安全性を求めることは、社会通念になっていない。

新規制基準の設定に不合理な点はない。合理的に予測される規模の自然災害に備えれば足り、「発生し得る最大限度の自然災害」に備える必要はない。

自然災害や各種事象に対する伊方原発3号機の安全性が、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の調査審議と判断の過程に、看過し難い過誤・欠落はない。

避難計画は、訓練や修正がなされて現時点では問題はないが、今後見出された課題に適切な修正がされなければ、計画が著しく合理性を欠く事態もあり得る。

以上要するに、新規制基準には不合理な点はなく、新規制基準に適合しておれば、具体的危険性はないというものであります。まさに裁判官としての良心を投げ捨てた無責任決定であり、司法放棄決定です。裁判所の存在意義はないに等しいものでした。この決定については、直ちに即時抗告をしています。今後の高松高等裁判所での審理に期待をつなぎたいと思います。

ところで政府は、原発に固執した政策を押し進めています。内閣府の原子力委員会は、過去には安全神話をふりまいた委員会ですが、2017年9月14日に、7年ぶりに2016年版の原子力白書の発刊を決定しました。その中身は、「福島事故の解明が必要である」と述べているものの、「福島原発事故で高まった原子力への不信や不安を、原発の利用実績の積み重ねを通じて国民の不信や不安を軽減していく」として、原発稼働に取り組むことが必要である」と述べています。更に、「核燃料サイクル」を維持し、プルサーマルが、プルトニウムを消費する現実的手段だとしています。また、建設中の大間原発の意義もコラムで述べています。

私たちは何としても原発推進の国策を変えなければなりません。その為にも、「原発のない暮らしを求めるえひめ県民署名の会」が、大きな成果をあげることに努力したいと思います。

2017年8月22日 於:松山市総合コミュニティセンター

第71回拡大幹事会あいさつ
事務局長 草薙順一
核ゴミ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分

経済産業省は、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関し、2017年7月28日に「科学的特性マップ」を公表しました。全国を4色に塗り分け、「処分場として好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」地域を濃い緑色と薄い緑色で示し、面積で全体の約65%になるとしています。中でも海岸から20キロ以内で「輸送面からも好ましい」地域を「濃い緑色」にしています。含まれる市区町村は約900で、全国の自治体の約半数です。東京都心や大阪の中心部や町長が処分場の受け入れを選択肢の一つと述べた佐賀県玄海町は「好ましくない特性がある」とされました。

問題点を述べます。

第1は断層の問題です。断層の長さに対して、100分の1の幅を処分地に適さないとしています。断層のない場所でも地震は起きます。また、断層の傾斜も考慮されていません。
第2は火山です。中心から15キロの範囲を不適地としています。火山活動は移動しますし、日本列島は火山活動によってできているといっても過言ではありません。
第3は、海岸近くが適地と述べています。断崖や砂浜などの地形も無視しています。
(なお、世耕弘成経済産業相は、福島県と青森県は候補地から除外すると述べました)

以上の問題点だけを考えても、日本には核ゴミの処分場の適地はありません。
経済産業省は、「マップ提示を契機に、全国各地できめ細かな対話活動を丁寧に積み重ねて参ります」と述べています。また、処分主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)も、マップが示されたらより適性が高い地域で重点的な対話活動を展開していくとしています。地層処分の安全性が確認されていないだけでなく、原発再稼働を推進し、処分困難な高レベル放射性廃棄物を生み出しながら、処分地の必要性を説かれても納得できるものではありません。

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2017年7月18日 於:松山市総合コミュニティーセンター 第8会議室

第70回拡大幹事会 あいさつ                    事務局長 草薙順一

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)は、原子力に関する研究と技術開発を行う国立研究開発法人である。1956年に原子力の平和利用を目的として設立された日本原子力研究所と、1967年に発足した核燃料サイクル開発機構を再編し、2005年に独立行政法人日本原子力研究開発機構として設立され、2015年4月に国立研究開発法人に改組した。本部は茨城県那珂郡東海村にある。保有施設は、2017年6月6日に5人が放射性物質プルトニウム239による被ばく事故を起こした大洗研究開発センターの他に、東海研究開発センター、敦賀市にある高速増殖炉研究センター(もんじゅ)、人形峠科学技術センター、北海道幌延深地層研究センター(堆積岩を対象に、地下に研究坑道を掘っている)、青森研究開発センター(むつの原子炉廃炉措置など)などがある。予算は約3,000億円。約4,000人が働いている。

もんじゅは、2016年12月21日に、国費1兆40億円を費やして、廃炉が正式に閣議決定された。廃炉費用に3、750億円が見込まれている。ところが政府は翌12月22日に使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル事業」は継続すると発表した。その方策として、フランスの高速実証炉「アストリッド」計画の参加を持ち出している。これは実現性が全くない。政府がサイクル維持にこだわるのは、サイクルの旗を降ろしたとたん、資源であった使用済み核燃料がゴミとなり、これまで資源として貯蔵してきた青森県が発生元に持ち帰りを要求しているためである。潜在的核抑止力の立場から再処理を維持したい見方もあるが、この考え方は論外である。最早高速炉開発ではないのである。先送りだけして、政治決断をしないのである。

ところで、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)が、2017年6月30日に、原発から出た使用済みの核燃料の再処理施設(東海村)の廃止作業に、70年で約1兆円かかるとの試算を発表した。この負担はすべて税金で、国民負担である。これには施設の維持管理費用などは含まれておらず、ガラスと混ぜた高放射性廃棄物の処分場所も決まっていない。とにかく、無駄な税金をかけているのが、原発の実情である。そこに着目し続けなければならない。

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2017年6月13日 於:コムズ

第69回拡大幹事会 あいさつ                    事務局長 草薙順一

本日(2017年6月13日)佐賀地裁は、玄海原発3・4号機について、住民の原発稼働停止を求める仮処分申請を却下しました。基準地震動の算定に合理性があるというものです。裁判所は安全性にまともに向き合っていないことが明らかです。新規制基準に適合しておれば、安全であるというものです。

福井地裁の樋口英明裁判官(高浜原発3・4号機の再稼働停止仮処分決定。その後取り消し決定される)や、大津地裁の山本善彦裁判官(高浜原発3・4号機の再稼働停止の仮処分。その後取り消し決定される)などが例外的裁判官になってしまう恐れを感じます。住民側は抗告するとのことです。福岡高裁では是非安全性を直視した裁判を切望するものです。

裁判所が忖度や統制のもとで、裁判官としての良心を失っているとしかいえません。伊方原発仮処分決定が、安全性に重きを置いて判断されることを願うものです。

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2017年5月9日 於・コムズ

第68回拡大幹事会 あいさつ

事務局長 草薙順一

「伊方原発をとめる会」は、2011年3月11日に発生した、福島第1原子力発電所の原発事故、すなわち「原発震災」が「運動の原点」です。

「原発震災」で明らかになったことは、放射能汚染の被害は、人間の手で防げない、制御できないことが明白になったことです。すなわち「原発と人類は共存できない」という事実こそが「運動の原点」です。

「原発震災」から6年が経過し、福島事故が忘れ去られようとしています。「災害が東北でよかった」とか、「自主避難者は自己責任だ。裁判でもなんでもせよ」などという今村前復興大臣の言葉には、福島での「原発震災」の被害者に対する想像力も、感受性もありません。しかし、この言葉は政府の本心です。すなわち今年避難地区が解除になった、飯館村(2017年3月31日)、浪江町(同日)、富岡町(同年4月Ⅰ日)

等の住民は、避難地区が解除になった瞬間から「自主避難者」となりました。そのような人に、帰還を促すために、一年後には「損害賠償はしない」。2017年3月末で「住宅支援打ち切り」が現在の政府の方針であるからです。6年間の避難で、多くの家は荒廃し、解体せざるを得ない状況になっています。放射線量も高く、飯館村などは、除染廃棄物を詰め込んだフレコンバックが村内に約235万個仮置き場に積み上げられています。住民の不安を訴える声を無視できません。

原発は、地球と人間に対する犯罪であるにもかかわらず、残念なことに昨年8月12日、伊方原発3号機が再稼働しました。「伊方原発をとめる会」にとっては、「運動の敗北」でした。更に、今年3月28日の高浜原発3・4号機の再稼働容認の大阪高裁の抗告審決定と、3月30日の、伊方原発3号機の再稼働容認の、広島地裁仮処分決定は、安全性を全く無視したものでありました。安全性を問わないのです。安全性を真正面から審理しないのです。今年中には出されると予想される、松山地裁の仮処分決定に私は期待をかけています。しかしながら、大阪高裁と広島地裁決定は、私たちに大衆闘争の奮起を促してくれました。私たちを目覚めさせた新しい「運動の原点」といえるものです。福島の「原発震災」以前の裁判と全く同じだからです。司法が全く変わっていないことに、深い失望を覚えました。

何としても原発を無くして、自然エネルギーにとって代わらなければなりません。その為には政治を動かさなければ、新しい社会の到来は不可能であります。

「原発震災」を起こしたことについては、政府や東電の責任はとてつもなく重いです。しかしながら、事故を起こした現実を許してきた私たちの責任でもあります。だから今に生きる者の責務として、更には、これから生まれてくる命の為にも、「負の遺産」を背負わせることは出来ないということが、私たちの原発に反対する「運動の原点」であります。

「原発のない暮らしを求めるえひめ県民署名」に「伊方原発をとめる会」は、全力で取り組みます。「原発を廃絶し、自然エネルギ―への転換」こそが、人々に幸せをもたらすとの確信こそが、署名行動を突き動かす原動力です。命をお金で売ることはできません。署名活動は、泥水の中に真水を入れるようなことかもしれません。しかし、ハスの花は泥水の中で美しく咲きます。署名活動の成功を願って、挨拶といたします。

以上

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