第24回口頭弁論の報告  福島事故から10年、地震源に立地の伊方原発を厳しく問う

 1月26日(火)、松山地裁にて伊方原発3号機の運転差止を求める裁判の第24回口頭弁論が開かれました。今回は、コロナ感染防止による原告席、被告席の制限が前回よりは緩和され、原告席に15名、傍聴席に18名が入廷しました。(前回はそれぞれ12席、13席、従来は35席、36席)。

 今回の口頭弁論では、事前に提出した準備書面(83)「地震源に立地、基礎知識、強振動学の現状、極近傍、南海トラフ」、同(84)「中央構造線についての再反論」の要旨を弁護団が口頭で陳述し、その後に原告2名が意見陳述をしました。

 準備書面(83)(84)の要旨陳述で、薦田伸夫弁護団長は、強震動地震学は限界があり、原発の安全に寄与できるほどには成熟していないとの地震学者の警告を引用して、「東日本大震災の知見を踏まえた伊方原発を襲う可能性がある地震動」は、被告・四国電力側の主張する基準地震動と比べると数倍大きくなることを指摘しました。また、被告側の、原告側準備書面(76)に対する「反論」については、「被告の批判は全くの的外れで」、「天に唾するものに他ならない」と厳しく断罪しました。

       (各準備書面は「運転差止訴訟」の「原告主張面」に収納)

危険なプルサーマル発電を憂うる

 原告の加藤廣志さんは、定年退職後の現在は毎週松山市内から一泊二日で、原発から10キロ余の保内町にある実家に通って畑の耕作をしているとし、伊方3号機がMOX燃料を用いるプルサーマル発電であることの危険性や乾式貯蔵施設設置の問題点などを指摘し、超高温を発する使用済MOX燃料の入ったプールを300年間も冷やし続けることが出来るはずはないとして、3号機の稼働を直ちに止めるべきだと訴えました。210126加藤廣志さん意見陳述書

鬼北町を愛媛の「飯館村」にするわけにはいかない

 原告の二宮美日(みか)さんは、原発事故が起これば飯館村と地理的に同じ条件下の鬼北町民は土地を離れることになり、故郷で継承されてきた暮らし、歴史、文化等が失われてしまうと訴えました。また、故斎間満さんの「原発の来た町」を引用して、原発誘致問題は環境問題と共に人権問題であり、過疎地切り捨て政策でもあるとして伊方原発の廃炉を訴え、裁判長に「日本の歴史に耐えうる判決」を求めました。210126二宮春日さん意見陳述書

記者会見・報告集会  

 閉廷後にR2番町ビルにて25名の参加で記者会見・報告集会を持ちました。

 弁護団から法廷でのやり取りの報告があり、中川創太弁護士が、福島事故の悲惨な例を取り上げた準備書面(81)に対する被告側の反論が、「(伊方原発3号機の危険性と)福島事故の被害の関連性は不明である」とのたった2行の不誠実なものであったとして、参加していたマスコミ関係者に訴えました。

熱心に語りかける中川弁護士、証拠書類のかさ高い風呂敷包みを前に薦田弁護士
小雨模様の中、集う参加者
報告を静かに聞く

 原告のお二人からは、意見陳述の感想が述べられました。加藤さんは、今日の陳述では言い尽くせなかった想いを自身のホームページ「『加藤 廣志』の部屋」に披露しているとのこと。また、二宮さんからは「裁判長にしっかりと聴いてもらいたいと、顔を上げて陳述した。読み間違えないように指で原稿を押さえていたが、こちらを向いてもらえなかった」との感想が述べられました。

意見陳述後の感想を述べる加藤さんと二宮さん

 また、薦田弁護士からは全国の原発訴訟についての報告があり、特に大阪地裁・大飯原発裁判の「国に設置許可の取り消しを命じた」判決は行政訴訟での原告側の勝訴であり、伊方裁判にも影響を与えるとの解説がありました。高田義之弁護士、広島から駆けつけた定者吉人弁護士からも意見陳述への感想などがありました。

10年前の気持ちを忘れてはならぬと定者弁護士(左)、心を打つ陳述を聞いたと高田弁護士(右)

 なお、第25回の口頭弁論期日は4月15日(木)、第26回は7月15日(木)に予定されています。