第26回口頭弁論 四電側の火山噴火の主張に厳しく反論、原発の非公益性などには再反論

伊方原発廃炉を願う七夕飾りも一緒に裁判所へと進む

  7月15日(木)、14時半より松山地方裁判所にて伊方原発3号機運転差止訴訟の第26回口頭弁論が開かれました。当日は時折雷鳴がとどろく不安定な天候の中、裁判所による傍聴席抽選の列に70名弱が並びました。が、今回もコロナ感染状況から傍聴席は18名(従来36席)に制限され、原告席には15名(同35席)が入廷しました。

  原告側は準備書面4通(89)~(92)を提出し、被告・四電側は準備書面(20)を提出しましました。また、原告の葛目(くずめ)稔さん(高知市)が意見陳述をし、裁判所が今後の口頭弁論期日を次回11月2日(火)、次々回2月24日(金)と指定して1時間ほどで閉廷となりました。

準備書面(89)「非公益性と福島原発事故のよる被害についての再反論」

  高田義之弁護士が、原発の非公益性について陳述しました。福島原発事故後は、原発に関するパラダイム(支配的なものの見方)が完全に転換し、原発安全神話、原発必要神話、原発低コスト神話がことごとく崩壊し、今や原発の運転は「プラスがないだけでなく、大いなるマイナス」であり、「それでも原発の運転を許容するというのであれば、運転によって過酷事故を起こすなどということは到底許されないというのが社会通念ではないだろうか」として、四電側の準備書面(17)は実質的に反論を展開できていないと断罪しました。

  次に中川創太弁護士は、原告側が準備書面(81)で詳細に主張した福島第一原発事故による被害について、四電側が「福島の被害状況を明らかにすることと、本件3号炉の危険性や原告らの人格権侵害の蓋然性を証することの関連性は不明である」とたったの数行の文言で反論としていることに再反論しました。その際、本年3月18日の東海第二原発水戸地裁判決が、福島事故の被害の甚大さから避難計画の不備を理由に運転停止を命じた点にも触れつつ、四電側のこうした主張こそ彼らが今も安全神話に浸っていることを示すものだと、厳しく糾弾しました。  準備書面89 公益性と福島原発事故による被害についての再反論

準備書面(90)~(92) 火山噴火についての被告側への反論

  山梨から駆けつけた中野宏典弁護士により、四電側の準備書面(16)に対する反論がパワーポイントにて展開されました。 先ずは、「火山事象に関する主張の全体像と本説明の位置付け」として、領域別に争点を書き出した上で、四電側の主張は欺瞞だらけで、しかも混乱が見られると指摘し、「裁判所による適切な争点整理が求められる」と当該裁判官による争点整理が必須であると力説しました。  また、自然科学本体が持つ不定性、特に火山噴火予知の限界についても言及し、争点の一つひとつをつまびらかにして被告側の主張に対して痛快と言えるほどの反論を行いました。

 準備書面90

 準備書面91(火山10)

 準備書面92c

原発は人の命に係わる  立地自治体だけの問題ではない!   

 原告で、高知市在住の葛目(くずめ)稔さんは、牧師としての正装である黒いガウン姿で意見陳述を行いました。社会との関わりを持ってこそ、教会に託された使命と役割を牧師として果たせるとの信念のもと、日本の原子力政策が核兵器の開発と繋がっていることに強い怒りと疑問を感じていると話されました。2007年に高知県東洋町での高レベル放射性廃棄物最終処分場問題に直面し、仲間と高知平和ネットワークキリスト者の会を立ち上げて本格的な脱原発活動を開始。伊方原発の再稼働問題は立地自治体だけの問題でなく、高知県民にとっても最重要課題だとして、人の命に係わる原発稼働は許されないと強く訴えました。

20210715 葛目稔さん意見陳述書

記者会見・報告集会

 

法廷でのやり取り等を報告する中川弁護士(左端)
報告を熱心に聴く

 雨が本格的に降り始めた15時45分から30名弱の参加で、R2番町ビルにて記者会見、報告集会が行われ、高知新聞記者の出席もありました。

  報告集会では、中川・中野両弁護士が、上述の法廷でのやり取り、次回以降の日程などを紹介し、次回11月2日(火)第27回口頭弁論では避難計画についての書面と、四電側準備書面(20)への再反論が予定されているとのことでした。

  また、意見陳述をした葛目さんは「牧師は社会的問題に関心を持つべきだと考えているので、今日、意見陳述ができたことはよかった」との感想を述べました。

    各地の原発裁判の在り方についての質問に答えて、弁護団から「脱原発弁護団の集まりなどで、弁護士間での情報共有もできている。お互いに使えるものは使っている。各地各様の闘い方で勝訴をつかみ取って行きたいと考えている」、「7月12日の経済産業省(=原発推進の本丸)による、『発電コストの最安は原発から太陽光になった』との試算発表や、同14日の広島高裁『黒い雨訴訟』(内部被ばく問題)の勝訴など、原発事故との関連においても有利な事案が出てきていて、今後の原発裁判への強い後押しになるはず」などの解説もありました。

   会場からは、三菱重工が小型原発の開発を目論んでおり、そのモデル画像が伊方原発の地形と酷似しているので、更なる四電への注視が必要との意見も出されました。 

   最後に事務局より8月28日(土)の伊方原発現地集会、9月17日(金)の四電への申入れと松山市駅前坊ちゃん広場での集会とデモの案内があり、須藤昭男事務局長の挨拶で報告集会を終えました。